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2003年07月19日 (Sat)
『朝~朝だよ~、朝起きて学校行くよ~』
「う・・・・名雪、今日は日曜だぞ・・・・?」

いつものように、眠気を誘う声を出す名雪・・・・じゃなくて目覚ましで目を覚ます。
眠たい目を擦りながら時計を見るとまだ7時だった。

「何でこんな時間に目覚ましかけたんだ、俺は・・・・」

とりあえず名雪の頭(目覚まし)を引っ叩いて止める。
いつもお前のせいでえらい目にあってるんだから、日曜ぐらいゆっくりしたって良いだろう?
などと名雪の声を出す目覚ましに毒づきつつ、俺は再び眠りにつこうとした。

「・・・・・?」

何か違和感を感じる。
誰かが俺のベッドの上に居るような?

ガバッと上半身だけを起こして飛び起きる。

「おはよう、相沢君」

・・・・何故かそこには、俺に跨る香里の姿が。






「っ~~~~~~~~~!!!!!!」

思わず声にならない叫びを上げる俺。
こうして静かだった水瀬家の朝は騒がしく明けたのだった。


















「もう相沢君、朝から近所迷惑よ?」

そんな事を言いながら、相変わらず俺の上に鎮座する香里。
パジャマ姿の香里は初めて見るが、これがどうして中々・・・・って、そうでなくて!

「な、何で俺の中に香里がベッドで、しかも跨って?!」
「相沢君日本語が変よ?」
「そ、そんな事はどうでも良いんだって!
 俺が今聞いてるのは、何でパジャマ姿で俺の跨っているのかと言う事であって」
「やだ、相沢君ったら・・・・何も着てない方が良いの? だったらそう言ってくれれば・・・・・」
「だぁっ! もっとダメだあああああ!!」

そんな事を言いながら、頬を染めてパジャマを脱ごうとする香里。
咄嗟に止めたものの、すでに胸元は少し肌蹴ていた。
う~ん、隙間から覗く白い肌が何とも・・・・って、違う!

「と、とにかくっ。いい加減俺の上から・・・・!」

降りてくれと言いかけた時だった。

ガチャ。

「祐一さん、何か悲鳴が聞こえた気がするんですけど大丈夫・・・・・」

そう言いながらドアを開けたのは秋子さん。
いつもの頬に手を当てる仕草で固まっている。

ま、拙い、何か弁解せねば・・・・・。

「あ、秋子さん? こ、これはですね・・・・・」
「了承」

バタン。

と、俺が弁解する余地もなく秋子さんはそう一言だけ言って出て行ってしまった。
と言うか、了承しないでください秋子さん(汗)
そう心の中で呟くものの、秋子さんはすでに居ない。

「はぁ~・・・・・」

とりあえず、軽く溜息を吐いて香里の方に向き直った。

「香里、とにかく降りてくれ」
「ん、そうね」

いつまでも俺の上に跨っている香里にそう促すと、香里は優雅にフワリと床の上に飛び降りた。
まるで空を飛ぶように・・・・って?

「香里・・・・気のせいか? 俺には香里が浮いているように見えるんだが」
「多分気のせいじゃないわね。実際に浮いてるもの」

なるほど、確かに。
香里の足元は床についておらず、ふわりふわりと宙に浮いている。
それに今気付いたがどことなく身体も透けていて、それはまるで幽霊の如く・・・・
って、ちょっと待て。

「香里・・・・寝てる間に、変な方向に首でも寝違えて逝っちゃったか?」
「失礼ね! 勝手に殺さないでよ!!」
「い、いや、しかしだな・・・・その状態を見る限りではどう見ても・・・・・」
「だからって言って良いことと悪いことがあるわよ?」
「・・・・すまん」

確かに、冗談とは言えちょっと性質が悪かった。
だがしかし、死んでいないとなれば今の香里の状態は何だ?
まさか、どこかのうぐぅみたいに生霊になったとか・・・・・。

「違うわよ。第一、生霊になる理由がないじゃない」
「まぁ、それもそうだが・・・・って、何故に俺の考えてた事がわかる?
 はっ、まさか霊になると他人の思考が全部読み取れるのか?!」
「まさか。ただ単に相沢君が自分で喋ってただけよ」
「ぐはっ」

またこれかよっ?!
日が経つ毎に、治るどころか悪化してないかこの癖。
いや、もう癖と言うより病気だな・・・・そのうち、本気で病院に見てもらおうか・・・・・。

「ま、まぁそれはともかく。実際のところ、何でそうなったんだ?」
「それがあたしにもよく判らないのよ・・・・目が覚めたらこんな姿になってて相沢君の部屋に居たの」
「・・・・その割には冷静だな?」
「だって騒いだって仕方ないでしょ?」
「まぁ、それはそうなんだが・・・・・」

流石は香里である。
もしこれが、真琴やあゆだったら目が覚めた瞬間大騒ぎだったろうな。
いや、あゆは以外とそんな事ないかも。
経験者だし。

「とにかく、いつまでもそのままで居るわけにはいかないな。元に戻る方法を考えないと」
「そう?
 私は別にこのままでも良いけど・・・・相沢君と好きな時にずっと一緒に居られるし・・・・(ぽっ)」
「ぽって・・・・何かいつもの香里と違うぞ。可愛くて良いけど・・・・・。
 いや、しかしだな、幽霊のままじゃあ何も出来ないだろう?」

何か論点がずれている気もするが、とりあえず香里を言い包める。
それに、実際のところ幽霊が相手では一緒に居る以外何も出来ない。
あんな事とかそんな事とかこんな事とか。
って、そうじゃないだろ俺!

「まぁ、それもそうね・・・・・・・・でも当てはあるの?」
「う~ん、とりあえず秋子さんに相談してみないか?」
「秋子さんに?」

秋子さんなら、少なくともアドバイスぐらいはしてくれそうだしな。
どこに根拠が?と問われたら、それは秋子さんだからとしか答えようがないが。
まぁ、細かい事は気にしてはいけない。

ま、そんな事は置いといて。
とにかく香里のこの状態を何とかすべく、俺達は一階に居るであろう秋子さんの元へと向かった。











一階へ降りると、いつもの如く秋子さんは朝食の準備をしてくれていた。
リビングには、他に誰も居ないでようである。
どうやらだぉ~は当然のことながら、うぐぅとあぅ~もまだ起きてきていないようだ。
まぁ、まだ結構早い時間だし仕方ないか。

「おはようございます、秋子さん」
「あら、おはようございます、祐一さん。
 ・・・・・・・・・・もう宜しいのですか? てっきり、お昼まで降りてこないものだと思ったのですけど」
「へ? 良いって何がです?」
「いえ・・・・今朝はお楽しみのようでしたので・・・・・・・・・邪魔をしてしまってごめんなさいね?」
「えっと、何のことで・・・・はうっ?!」
「若いって良いですね、私ももう少し若ければ負けないのですけど・・・・・(ぽっ)」
「ぐっはぁああっ?!」

そ、そう言えば今朝の状態を秋子さんに思いっきり見られてたんだった(汗)
別にやましい事は何もしてないのだが、当の秋子さんは思いっきり勘違いしまくっている。
まぁ、寝ている俺の上に香里が跨っていたのだから勘違いするのも無理ないのだが・・・・・。
俺の後ろをふわふわと憑いて・・・・じゃない、付いてきていた香里も、秋子さんの言葉の意味を理解して真っ赤になっていた。

「あ、あのですね秋子さん。別に俺達は秋子さんが思っているような事は何もしてないですよ?」
「あらあら、別に恥ずかしがる必要はないのですよ?
 お二人は若いですから朝から・・・・でも仕方ないですし」
「秋子さん、その『・・・・』がすっごく気になるんですが」
「あら、祐一さんたら判ってるくせに・・・・・・・あ、今日はお赤飯にしましょうか?」
「い、いや、だからそうでなくて(汗)」

俺の言葉を無視して、勝手に話を進める秋子さん。
最早、何を言っても無駄な状態である。
と言うか、赤飯は違うと思うんですが・・・・・。

「はぁ・・・・もうそれはどっちでも良いです。
 それより、秋子さんにちょっと相談したいことがあるんですけど」
「あらあら、何ですか?
 あっ・・・・もしかして今のに飽きてしまったものだから新しい体位(?)を教えて下さいとか、
 そんな恥ずかしいですよ(赤)」
だあああああっ、だから違いますって!
 と言うか、いい加減その話題から離れてください!!」

何故かクネクネと身体を揺らしながら頬を赤くする秋子さん。
何を考えてるのか手に取るように判るが、生憎そんな事聞きに来たんじゃないです。
第一、そう言う事は人に聞かず自分達で研究・・・・違う違う。
と、とにかく俺達が聞きたいのはそんな事じゃないっ。

「あ、秋子さん、とりあえず香里を見てください」
「香里さんがどうかしたんですか?
 ・・・・・・・・・・あらあら、ヤリ過ぎて気絶したまま逝っちゃいましたか?」
「「ち、違いますっ!!」」

秋子さんはどうあっても、そっちの話から離れてくれないらしい。
しくしく、もうどうでも良いや。

半ば諦めつつ、とにかく俺は秋子さんに事の顛末を話した。


俺の話を途中何度も茶々を入れながら聞いていた秋子さんは、俺の説明を聞き終わると一息吐いてこう言った。

「あぁ、それなら多分栞さんのせいですね」
「「え?」」

ほへ?
何故にそこで栞の名前が出てくるのだ?

「昨日の夕方頃に栞さんが尋ねてきたんですよ。
『何かお姉ちゃんをギャフンと言わせられるようなものはないですか?!』って言ってきたものですから、
 幽体離脱香と言うものを貸してあげたんですけど」

あ、秋子さん・・・・そんな怪しいものを誰彼なく簡単に貸さんでください・・・・・。
それに、そんなものを秋子さんに頼みにくる栞も栞だ。
大体、香里にギャフンと言わせてどうするつもりだ?

「それにしても幽体離脱香ですか・・・・じゃあ、今の香里は幽体離脱してるって事なんですね」
「まぁ、そう言うことですね。
 元に戻るには、自分の身体に自分を重ね合わせれば大丈夫なはずですから・・・・・・、
 一度、お家の方に戻ってみては如何ですか?」
「そうですね・・・・そうするか、香里?」
「そうね。栞にお仕置きもしないといけないしね(クスリ)」

そう言って、冷たい笑みを浮かべる香里。
笑っているのだがどこか無表情にも見えて、はっきり言って怖い。
お仕置するのは止めはしないが、間違えても病院送りとかなんてするなよ?
栞の場合、マジで洒落にならんのだから。

「とりあえず、俺たちは香里の家まで行ってきます。
 すいませんけど、上の3人の事は・・・・・」
「えぇ、任せてください。私がしっかりと起こしておきますから」
「それじゃ、お願いして・・・・行ってきます」
「行ってらっしゃい」

可愛く手を振る秋子さんに断って美坂家へと向かう。
その際、妙に秋子さんがにこにこしていた気がする。
ついでに、片手を後ろに隠していたような。

・・・・忘れた方が懸命だな(汗)

だから家を出てからしばらくして、水瀬家の方から聞こえてきた3人の悲鳴なんて俺は知らないぞ。
知らないったら知らないんだ!(汗)



・・・・・・・・・・・・・・・という訳で、名雪、真琴、あゆ、許せ・・・・・・・・・・・・・・。












家を出てから十数分。
俺たちは商店街まで来ていた。
美坂家へ行くのに商店街を通る必要があったかどうかは覚えていないが・・・・香里が行きたいと言うのだから仕方が無い。
ただ、周りの一般人にショックを与えてはいけないので、香里にはちゃんと地面に着いて歩くように言ってある。
何故かこの幽体離脱した香里は、霊感がまったくない人間でも見えるようなのだ。
はっきり言って、面倒な事この上ないが・・・・美坂家へ行く為にはしょうがない。


「それにしてもな~。幽体離脱したこと自体も謎だけど、どうして俺の部屋に居たのかもかなり謎だな」
「そうね。あ、もしかしてアレのせいかも・・・・・・・」
「アレ?」
「え、えぇ」

聞き返す俺に対して、真っ赤になって頷く香里。
何だ、そんなに恥ずかしい事なのか?

「なぁ、アレって何だ?」
「え、え~とね。言わなきゃダメ?」
「おぅ、是非とも教えて欲しいぞ」
「・・・・・・・(赤)」

俺がそう言うと、香里は更に真っ赤になった。
分かりやすく表現すると茹蛸?
それぐらい、香里は赤くなっていた。

「し、しょうがないわね・・・・・・・・・・・・あたしね、いつも枕の下に相沢君のし、写真を入れてるのよ」
「はぁ・・・・・俺の写真? 何でそんなもん・・・・・・」
「べ、別に他意はないのよ? ただ夢の中でも相沢君に会えたらな~って・・・・・・・・・・・・」
「香里・・・・・・・意外と可愛いとこあるんだな」
「い、意外とは余計よっ!」

恥ずかしさで真っ赤になったまま怒る香里。
でもそんな香里のむきになった表情は、怖いどころか逆に可愛い。
思わず、『そんなに怒るなって』と言いながら頭を撫で撫でしたくなる。
そして『も、もう』とか言いながら香里が軽くそっぽ向いたりしたらもう最高である。
今は幽霊だから出来ないのが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いつかやろう。


閑話休題。


「・・・・・・で、その写真を入れてたから俺の部屋に居たのか?
 べつにそんな赤面するほどの事じゃない気がするが・・・・・・」
「ま、まぁそれだけならね・・・・・・・・・・・・・」
「何だ、まだ何かあるのか?」
「え、え~っと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

何か香里が更に赤くなった気がする。
さっきので茹蛸と表現したのに、それ以上赤くなられては表現のしようがないではないか。
・・・・・・・何か論点がずれてるな。

「香里?」
「じ、実はその・・・・・・写真を入れてたからか知らないけれど、本当に相沢君の夢を見て・・・・・・・」
「へ~、あれって本当に効果があったんだな・・・・・・それで?」
「それで・・・・・・・・その夢の中で相沢君と・・・・・・・・(赤)」
「何だ、聞こえないぞ?」
「だ、だから今朝相沢君が起きた時のような格好でね? その・・・・・・・・シテたの・・・・・・・・」
「は?」

かなり小さい声だが、一応聞き取る事は出来た。
え~と、俺が朝起きた時のような状態って、香里が俺に跨ってた時のことだよな・・・・・・・。

「してたって・・・・・・・・・・・・何をだ?」
「ち、ちょっと相沢君! そんな大きな声で・・・・・っ!!」
「え、な、何かやばい事なのか?」
あ、当たり前でしょ?! 恥ずかしくて仕方ないんだから・・・・・・・・」

う~む・・・・・・・・・・・・。
朝のあの格好で口に出して言うとやばくて恥ずかしいような事と言うと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ(汗)

「そ、そう言う事か(汗)」
「わ、分かった?」
「うむ、海より深く理解したぞ」

香里が真っ赤になるのも頷ける。
そりゃあ、恥ずかしいに決まってるか。

「つまり、そんな夢を見てたから幽体離脱した身体が勝手に俺の部屋まで来て、
 夢の中の再現をしていたと言うわけだな」
「だと思うけど・・・・・・・・・・そんなはっきり言われると恥ずかしいんだけど(赤)」
「別にそんなに恥ずかしがる必要はないぞ。
 と言うか、香里が夢の中で俺とそんな行為に及んでいるなんて、逆に嬉しいぐらいだ」
「だ、だから大きな声で言わないでよ! もう、相沢君ったら・・・・・・・・・」

相変わらず顔が赤い香里。
恥ずかしながらそう言うの姿がまた可愛いのである。
う~ん、思わず抱きしめたいぐらいだな。
何となく良い雰囲気だし。
香里が生身でないのが非常に残念だ。


「う、うわわわわわあああぁぁっ!!!!!」
「「?」」

と、俺たちがらぶらぶフィールド(?)を形成しているところに、いきなり通行人の悲鳴。
何事かとそちらを見やると、その悲鳴を上げた通行人を腰を抜かしてその場に座り込みながらこちらを見ていた。

何だ何だ、俺たちがどうかしたのか?

香里と二人して顔を見合わせるがさっぱり分からない。
しかしその間にも、悲鳴に気付いた他の通行人達が集まってきて、俺たちの方を見てざわざわやっている。
本当にどうしたんだ?
疑問に思う俺だが、その後の通行人の言葉が俺に状況を理解させてくれた。

「ひ、人が・・・・・・人が浮いてるっ!!!」
「「!!」」

慌てて香里の方を見ると・・・・・・・・ぐあっ!
案の定、香里はいつの間にか少し身体が浮いていた。
多分、話をしているうちに気が緩んだかなんかだろうが・・・・・・・非常に拙い(汗)
周りに集まってきた他の通行人達まで俺たちを見ていたのはそう言うわけか。

とりあえず、これ以上ここに留まるのはかなり危険だ。

「と言うわけで、逃げるぞ香里っ!」
「え? あ、ち、ちょっと相沢君?!」

すかさずダッシュをかます俺に、慌ててついてくる香里。
その先に野次馬の人垣があったが・・・・・・・・・。
構わずふき飛ばして、俺と香里は一目散にその場を後にした。















「・・・・・・・漸く着いたな」
「・・・・・・・漸く着いたわね」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

疲れきった顔で、お互いを見合わせる俺と香里。
ここまで来る途中、舞と佐祐理さんに出会って危うく対峙されそうになったりとか、香里を見てばたんきゅ~してしまった天野を介抱したりとか、某アンテナ男に見つかりそうになって逃げ回ったりとか、その後また野次馬に囲まれて危うく見世物にされそうになったりとか、まぁ色々あったが何とか無事に辿り着いた。

・・・・・・・・・・・。

と、とりあえずとっとと香里を元の身体に戻そう。

香里を先頭に家の中に入る。
家の中はシーンとしていて、何も聞こえてこない。
はて、誰も居ないんだろうか?

「今日は両親は二人とも居ないのよ。栞は自分の部屋に居るでしょうし、静かなのも当たり前だわ」
「む、そうか・・・・・・・って、今のは声に出していないはずだが?」
「そうね。でも相沢君の場合表情を見るだけでも結構分かっちゃうのよね」

ぐはっ、声に出さなくても顔に出るのか・・・・・・・・俺にはポーカーフェイスなんて絶対無理だな(汗)

「そ、それよりどうする? とりあえず自分の身体に戻ってしまうか?」
「そうね。栞へのお仕置はその後でも良いでしょう」

そう言うと、ふわふわと二階へ登っていく香里。
俺もその後に続いて階段を登る。
二人の部屋は二階にあるらしい、水瀬家と一緒だな。

階段を登りきると、ずっと奥に行った所にあるドアに『香里の部屋』と書かれたプレートが下がっているのが見える。
ふむ、ここが香里の部屋か・・・・・・・しかし、このプレート味気ないな。
よし、ここは一つ俺が細工して・・・・・・・・・・。

「相沢君? 余計な事はしないでね?」
「・・・・・・・・・・・はい」

しかし、速攻で香里に見つかって咎められてしまった。
『香里の部屋(はぁと♪)』とか書き足してやれば可愛くなると思うのになぁ。

・・・・・・・・・・・・・・相沢君?
「・・・・・・・・・・ゴメンナサイ」

諦めずにやろうとしたけど、やっぱりダメだった。
と言うか、香里の視線が今にもこっちを呪いそうなほど怖いのでこの辺で止めておこう(汗)

「それじゃ、相沢君はここで待ってて。あたしは元の身体に戻ってくるから」
「俺も一緒に入ったらダメなのか?」
「ダメなことはないけど・・・・・・・あたし、寝る前はいつも部屋に鍵かけちゃうのよ。
 だから中からあたしが開けないと開かないの」
「なるほど・・・・・・・・・・・・・・・・じゃあ、栞はどうやってお香をセットしたんだろうな?」
「・・・・・・・・・・・・・栞のことだから、知らぬ間に合鍵ぐらい作ってそうだわ」
「納得・・・・・・・・」

栞・・・・・・・例え相手が身内でもそれは立派な犯罪だ。
まったく、お香の事と良い何を考えてるんだ?

「とにかく、ここで待っててね?」
「了解だ」

俺を一人廊下に残し、部屋の中へ入って行く香里・・・・・・・・・・・・戸をすり抜けて。
当たり前と言えば当たり前なんだが、何か実際に目の前で見るとちょっとあれだな・・・・・・。


それから待つ事数分、程なくして部屋の戸が開かれ香里が中から現れた。
どうやら生身のようだ・・・・・・・・・ちゃんと地面に足も着いてるし、身体も透けてはいない。
手には例のお香も持っている。

「それが例のあれか?」
「そうみたいね・・・・・・・・もうすっかり切れてるけど」

香里の言う通りお香からは、もう何も煙のようなものは出ていない。
まぁ、もしまだ機能していたら香里が身体に戻れなかったわけだが。

「で、どうするんだ?」
「どうするって・・・・・・・・・勿論、栞にお仕置きするに決まってるじゃない♪」
「やっぱりか・・・・・・・・いや、そのお仕置きは何をするのかな~って・・・・・・・・」
「そうね・・・・・・・やっぱり、私と同じ目に遭ってもらうのが一番かしら?
 それと相沢君にも協力してもらうわよ」

そう言って、香里はクスリと笑った。
しかし、協力って・・・・・・・・・・・何をだ?

その疑問は、すぐに晴れる事になるのだった。











「ほら、相沢君・・・・・・・もっとくっついて」
「い、いやしかしだな・・・・・・・結構恥ずかしいぞ、これは」
「別に他に誰も居ないんだから良いじゃない。それよりもうすぐ栞が気付くわ。ほら、もっと身を寄せて?」
「む、むぅ・・・・・・」

言われるままに香里に身を寄せると、香里は俺の肩に身体を預けてくる。
密着するもんだから、腕に香里の柔らかいものの感触が・・・・・・・・・。
う~む、83か・・・・・・・・って、違うだろ!

「相沢君、それは半年前のデータよ・・・・・・・・・・今はもうちょっと成長してるわ」
何っ、もっと成長してるって?!
 じゃあ、今は84か85ぐらいにはなってるのか?」
「ま、まぁそのぐらいかしらね・・・・・・・・・・」
「なるほど、更にスタイルに磨きがかかってきたってか?・・・・・・・・・って(汗)」
「どうしたの?」
「・・・・・・・・俺、また?」
「えぇ、しっかりと声に出てたわよ?」
「ぐあっ」

お約束かい(汗)
しかしまぁ、おかげで今の香里のバストを聞く事が出来たし良しとしよう。
香里も別に怒ってないし。

「あ、相沢君・・・・・・・何なら触ってみる・・・・・・・・?」
「はぇ? 触るって何を?」
「だ、だからその・・・・・・・・・・胸を・・・・・・・・・・・・・・」
「な、何っ?! い、良いのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・(コクン)」

真っ赤になって頷く香里。
い、良いんだろうか?
・・・・・・・本人が良いと言ってるんだから良いんだろう!
と言うわけで、失礼して・・・・・・・・。

香里と見つめ合いながら、そ~っと胸の方に手を持って行・・・・・・・・・。


「え、えぅ~~!!!
 何やってるんですか~~~っ??!!!」


「「あ・・・・・・・」」

突然家中に響く絶叫。
見ると、幽体となった栞がこちらを睨んでいた。
・・・・・・・・・香里と戯れててすっかり忘れてた。

「お姉ちゃん! 祐一さんと部屋で二人っきりで何やってるんですか?!」
「何って、見ての通りだけど?」

そう言って、ぎゅ~っと密着する香里。
や、柔らかいものが更に押し付けられてるんですけど?!

「そ、そんな事するお姉ちゃん嫌いです! それに何で私が幽霊になってるんですか?!
 幽体離脱香は確かにお姉ちゃんの部屋に仕掛けたはずなのに・・・・・・・・・・・・・・」
「ふ~ん、やっぱり栞だったのね」
あ゛(汗)」
「ま、それが分かってたから同じ目に遭わせたんだけど・・・・・どうかしら、幽霊になった気分は?」
「え、えぅ(汗)」

本当は自分が香里に対してそのセリフを言いたかったんだろうが・・・・・・・・逆に言われて悔しそうな栞。

「と、とにかく祐一さんから離れてくださいっ!!」
い・や・よ。栞はそこで指でも咥えてみてなさい・・・・・・・・ね、相沢君?」
「え? か、香里? 何を・・・・・・・・んむっ?!」
「ん・・・・・・・・・・・・・・」
「ああああああ~~~~~~~~~~~~っ!!!!!!!!!」

急に顔を近づけてきたので、何をするんだと言いかけた瞬間俺の口は塞がれていた。
・・・・・・・・・香里の唇によって。

・・・・・・・・・柔らかいな、香里の唇。
このままずっとこうしていたいくらいだ。

「は、離れるです~~~~!!!」

何やら栞が必死で引き剥がそうとしてるが、霊体なのですり抜けるばかり。
それを良いことに、香里は俺の首に手を回してきて更に密着してきた。
何かキスもどんどん情熱的になってきてる(汗)

「離れると言ったら離れるです! あ、お姉ちゃんったらそんな事まで・・・・・、
 ダ、ダメだですっ、止めるです~~~~~~!!!!」

しかし、もう栞のことなんか完全無視。
最初からそこに居ないかの如く、香里はどんどん積極的になって行き最後には・・・・・・・(赤)

・・・・・・・・・栞は蛇の生殺し状態で、コトが終わるまでずっとその光景を見せられ続ける羽目になった。



「え、えぅ~~~~~~!!!!!!!」

















草木も眠る丑三つ時。
昼間の祐一とのコトもあって、香里はすっかり疲れて眠り込んでいた。
そんな香里の部屋の前に現れる一つの影・・・・・・・・・。

「お姉ちゃん・・・・・・・昼間はよくもやってくれましたね?」

・・・・・・・・・頭に風呂敷を被っていていかにも妖しい風貌だが、どうやら栞のようだ。
手には例の幽体離脱香を持っている・・・・・・・って、まだ懲りてないのか?

「私の目の前で祐一さんとあんなこと・・・・・・・あんなことするなんて(赤)
 絶対に許さないです。お姉ちゃんには私と同じ目にあってもらわないと」

フフフ・・・・・と笑いながら、香里の部屋の戸を開けてお香をセットする。
どうやら、昨日やったようなことを今度は自分がするつもりらしいが・・・・・・。
栞は、お香の効果時間がそれほど長くないことに気付いていないようだ。

「さて、これで後は朝になるのを待って祐一さんを呼ぶだけです~♪」

そう言って、浮かれながら部屋に戻る栞。
ベッドに潜り込むとそのまま眠りについてしまったようだ。






そして、エンドレスになるとも知らずに。





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