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過去の遺作置き場
2017年12月13日 (Wed)
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2002年10月12日 (Sat)
8月15日 その2



「あやめさん、あなたは・・・」
「・・・幽霊・・・なのでしょう、祐子さん」
「あやめさん・・・」

気付いてたんだ・・・。
てっきり今までの態度からして、まだ自覚はないものだと思ってたけど・・・。

「いつから?」
「皆さんで海へ行った時があったでしょう? あの時に・・・」
「そっか、あの幽霊騒ぎの時の・・・」

あの時、あやめさんは霊力で結界みたいなものを張ってたものね。
おそらくそれで・・・。

「あやめさん、気付いたのはそれだけ?」
「え、どう言う意味ですの?」

まるっきり分からないという表情のあやめさん。
やっぱり幽霊と言う自覚はしても、北川君の体調不良に関しては自覚ないのね・・・。
となれば、私の口から言うしかない。

「あやめさん・・・」
「はい、何でございましょう?」

言わなきゃ・・・いけない・・・。
喉のすぐそこまで言葉が出てきてるのに、それ以上が出てこない。
何を躊躇ってるの・・・これをあやめさんに言わないと、北川君は・・・。
私は大きく深呼吸をして、覚悟を決めた。

「あやめさん、北川君が元気の無い原因は・・・あなたなの・・・」
「え?」

私の言葉を聞いたあやめさんは、目をぱちくりとさせる。
何を言っているのか分からないと言った顔・・・。
無理もないけど・・・。

「よく聞いて・・・最近あやめさん、身体の調子良いでしょう?」
「え、えぇ・・・そう言えば、以前の頃と比べるとまるで・・・」
「それはね・・・あやめさんが、北川君から生気を吸ってるからなのよ」
「私(わたくし) が・・・潤様から!?」
「・・・例えあやめさん自身に自覚が無くても・・・あやめさんが北川君の傍に居たいと願えば願うほど、北川君は弱って行ってしまう・・・」
「そ、そんな・・・あぁ、潤様! 私(わたくし) は何と言う事を・・・」

そう言って、あやめさんは俯いてしまった。

「あやめさん・・・北川君と一緒に居たい気持ちは分かるけど、これ以上一緒に居たら、間違いなく北川君は死んでしまうわ・・・」

私は追い討ちをかけるように言葉を続ける。
どんなに酷なことかは分かってる。
けど、もう北川君とあやめさんが一緒に居るのは限界なのよ・・・!

「私(わたくし) は、一体どうしたら・・・」
「あやめさん、成仏するのよ・・・そうすれば、あの世にはあやめさんが待っていた本当の北川君にも会えるから」

そう、この世に今居る北川君はあやめさんの本当の思い人である『潤様』じゃない。
もし生まれ変わったりしていなければ、あやめさんが成仏して天国に行ければそこで会えるはず。

「本当の潤様に・・・私(わたくし) は・・・」

複雑な表情をするあやめさん。
何かを考えこむかのように・・・。

「・・・気付いてはいました。潤様はあの潤様ではないと・・・」
「あやめさん・・・」
「祐子さん・・・私(わたくし) 、天国へ参ります。潤様にこれ以上ご迷惑をおかけするわけにはいきませんから・・・」
「あやめさん・・・あやめさん、ごめんね・・・」
「祐子さん、そんなに謝らないでくださいな。祐子さんは何も悪くないのですから・・・」
「あやめさん・・・・・?!」

突然、あやめさんの周りが空から射す白い光に包まれた。
その光はどこか暖かく懐かしく、そして優しかった。
光に包まれたあやめさんが、少しずつ空に浮き上がって行く。

・・・ホントに成仏するんだ・・・。

「私(わたくし) 、本当は自分が幽霊だと自覚した時点でいつでも成仏できたんです・・・でも、出来ればあの潤様とずっと一緒に居たかった・・・」

その言葉に、私は何も言わない。
何か言えば引き止めてしまいそうになるから。
だって・・・私だって、本当はあやめさんを成仏させたくなんてなかったんだから・・・。
私は目に浮かんだ涙を拭くと、あやめさんの方を見上げる。

「あやめさん、向こうに行っても元気で・・・「あやめさ~ん!!」・・・?!」

お別れの言葉を告げようとした時、突然後ろから声が聞こえてきた。
振り向いて私の目に飛び込んで来たのは・・・。

「き、北川君?!」

こっちに向かって必死に走ってきている北川君の姿だった・・・。




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