過去の遺作置き場
6月8日
いよいよ、今日は学園祭初日。
なのに俺たちは走っている。
「・・・・もう今度から名雪見捨てようかしら」
「う~、祐子ちゃん極悪だよ~」
息一つ切らさず、そんな事を話しながら全力疾走する俺たち。
こんな事なら、最後の日も学校泊まり込めば良かったな・・・・。
いよいよ、今日は学園祭初日。
なのに俺たちは走っている。
「・・・・もう今度から名雪見捨てようかしら」
「う~、祐子ちゃん極悪だよ~」
息一つ切らさず、そんな事を話しながら全力疾走する俺たち。
こんな事なら、最後の日も学校泊まり込めば良かったな・・・・。
「ま、間に合った・・・・」
さすがに疲れて息を切らしながら、教室に入る。
「くー」
・・・・もう名雪は知らん。
「あ、遅いじゃない相沢さん」
そう言いながら俺の方にやってくるメイドが一人。
って香里か。
「いつもの如く名雪のせいよ・・・・それより、もう着替えてたのね」
「当たり前でしょ? ほら、相沢さんと名雪も早く着替えないと開店に間に合わないわよ」
「ん、了解」
「くー。分かったおー」
「「・・・・・・・・」」
やっぱり前途多難だ・・・・。
俺と名雪は仮設された更衣室に入ると、ウェイトレスの衣装であるメイド服に着替える。
オプションの眼鏡も装着すると、着替えにもたもたと時間をかけている名雪を残して俺は更衣室を出た。
「あ、相沢さん着替え終わったんですね」
「え?えぇ・・・・」
「水瀬さんにも困ったものですね・・・・こんな時ぐらい早起きしてくれても良さそうなものですけど」
「そ、そうね」
いきなり現れたウェイトレスの女の子の言葉に頷きながら、俺は必死にある事を考えていた。
・・・・この子、誰だ?
はっきり言って、顔に見覚えが無い。
こんな顔の女の子はうちのクラスに居なかったと思うのだが・・・・。
「どうかしましたか?」
「え!?う、うぅん、何でもないわよ」
「・・・・なら良いですけど」
あれ?
でもどこかで見たことがあるような気がする。
あの顔、そして少し短めの髪にカチューシャをした頭・・・・そのてっぺんから跳ねてるアンテナ・・・・。
・・・・アンテナ?
ま、まさか・・・・。
「・・・・北川?」
「え?そうですけど」
そう言ってこっちに振り向く目の前の女の子・・・・の格好をしている北川。
・・・・な、な、何ぃぃぃ~~~~???!!!
「き、北川、あんた何でそんな格好・・・・!?」
「何でって・・・・人手不足なんだからしょうがないでしょう? 他の女子は誰もやりたがりませんし」
だ、だからって女装するか?!
しかも思いっきり違和感無く女言葉使ってるし!
まさか、昨日言ってたことが冗談じゃなく本気だったとは・・・・。
「私だけじゃないですよ。ほらあそこに」
そう言われて指差された方に目をやると、斉藤、田中、竹田・・・・等々。
数名の男子がメイド姿に女装している。
特にここに居る北川と向こうの竹田は、本当に女の子と見間違うくらいだった。
(斉藤や田中は・・・・まぁ言うまい)
・・・・思わず頭を抱える俺。
「相沢さん・・・・深く考えたら駄目よ」
「・・・・香里はよく平気ね?」
「さっきからずっと見てるから、大分慣れたわ」
際ですか。
はぁ・・・・何か始まるまえからドッと疲れた・・・・。
やがて、開店時間が来て俺たちの喫茶店がOPENした。
客の入りは・・・・まぁ、上々と言う所か。
特に何も宣伝しなくてこれだけ人が来てれば十分だろう。
「・・・・今日は大丈夫のようね。問題は明日か・・・・」
香里がブツブツとそんな事を呟いている。
・・・・どうかしたんだろうか?
何事かと聞こうかとも思ったが、意外とウェイトレスの仕事が忙しい為、無理だった。
う~ん、気になるな・・・・。
そんな感じの1日目。
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