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過去の遺作置き場
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2002年08月05日 (Mon)
6月21日



キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン。

「祐子ちゃん、放課後だよっ」
「あらもう?・・・・朝から記憶が無いんだけど」
「相沢、それは寝過ぎだ」

いつもの漫才に冷静にツッコミを入れてくる北川。
・・・・何か、最近こいつ真面目だよな。
前のような奇行が減ったと言うか・・・・やっぱりあやめさんの影響だろうか?

「で、相沢。今日は一度帰ってから来るんだったな?」
「えぇ、そうよ」

あゆと真琴を連れてこないといけないからな。
面倒だが一度家に帰って・・・・。

「祐子ちゃん、その必要なさそうだよ」
「え?」

突然、名雪が窓から外を眺めながらそんな事を言う。

「何で?」
「ほら、あそこ」

名雪に指差された方を見ると・・・・なるほど、校門の所にあゆと真琴が来ている。
どうやら、俺たちが帰るまで我慢出来なかったみたいだな。

「それじゃあ、このまま北川の家まで直行ね」
「ま、俺はどっちでも構わんぞ」
「それじゃあ、行こうよ」

俺たち3人は鞄を持って、教室を出た。




「あ、祐子~!」
「祐子さ~ん!」

昇降口を出ると、二人が俺たちの姿を見つけたのかこちらまで走り寄ってくる。

「二人とも、家で待っててって言ったのに」
「あうー、だって真琴待てなかったんだもん!」
「うぐぅ、右に同じ」

ま、良いけどな。
さて、それじゃ全員集まった事だし行くか・・・・。

「相沢さん、何してるんですか?」
「え?」

突然自分の名前を呼ばれて振り返ると、

「あう~、美汐~!」

天野だった。
真琴はすかさず天野の懐に飛び込み抱きつく。

「きゃっ。駄目よですよ真琴、いきなり飛びついたりしたら・・・・」

そう言いながらも、天野は真琴を引き剥がそうとせずに頭を撫でている。
真琴は気持ちよさそうだ。

「それで、今日はどうしたんですか?真琴や月宮さんが学校に来ているなんて」
「あ~、え~とね」

困った、何て説明しようか。
本当の事言うわけにはいかないし・・・・。

「あ、聞いて美汐!真琴達今日は幽霊に会いに行くの!!」
「幽霊・・・・???」

だぁっ!!
いきなりばらすなぁっっ!!!

「真琴!誰にも言っちゃいけないって言ったでしょうが!!」
「あう~・・・・」
「相沢さん、私に何か隠し事ですか?そんな酷な事はないでしょう」

・・・・そんなに酷な事か?
しかし、こうなるともう隠し通すのは無理だなぁ。
しょうがない、説明するか。



「・・・・と言う訳よ」
「そう言う事でしたか」

俺の話を聞いて、天野は納得したようだ。
意外と冷静だな・・・・まぁ、天野は妖狐の前例があるからそんなに驚きもしないんだろうが。

結局、天野も一緒について来る事になった。


「・・・・何か、どんどん関係者が増えてるような気がするぞ」
「ほんっとにごめん、北川・・・・」
「朝霧になんて言い訳しよう・・・・」

南はかなり口が堅いらしく、まだ誰にも喋ってないらしい。
何か、俺たち(つーか俺)だけがばらしてるな。
ごめんよ、南。









しばらくして北川の家に着いた。
北川が先頭に立って家のドアを開ける。
するとそこには案の定・・・・。

「お帰りなさいませ、潤様」

・・・・三つ指ついてお出迎えをするあやめさんの姿が。

「ただいま、あやめさん。今日は友達を沢山連れて来たんだけど良いかな?」
「まぁ、ご友人ですか?それでは、わたくしお茶の用意をしてまいりますね」

そう言って、あやめさんはキッチンの方に消える。
比喩じゃなく、本当に消えた。

「う、うぐっ」
「あうっ」

バタッ。

・・・・それを見た、うぐぅとあうーが倒れた。
あゆはともかくとして・・・・真琴もこう言うの弱かったんだな。

「へぇ~、あれが幽霊さんなんだ」
「私、初めて見ます」

一方、動揺の色も見せない二人。
ちょっとは怖がってくれたほうが面白いんだがな。

「ま、まぁとりあえず上がってくれ」
「そうね」

北川に促され、気絶したあゆと真琴を担いで中に入る。
・・・・こいつら、最近少し重くなったな。

そんな事を考えながら、リビングへと向かった。


「ねぇ、ところで北川」
「何だ?」
「あやめさんお茶淹れに行ったみたいだけど・・・・ポットの使い方とか教えたの?」

ちなみに俺はまだ教えてない。

「・・・・あ」

北川が、しまったと言うかのように声を上げる。
ま、こんな事だろうと思ったが・・・・。

「名雪、あやめさんがお茶淹れるの手伝ってあげて」
「うん、良いよ~」

そう言うと、名雪はあやめさんの居るであろうキッチンへと歩いていった。
物怖じしないやつだな・・・・。



やがて、名雪とあやめさんがお盆にお茶とお茶菓子を乗せてリビングに戻ってくる。

「ポットの使い方はもうばっちりだよ~」

・・・・だそうだ。
流石だな、名雪。
しかし・・・・あやめさんって、どうやってお盆持ってるんだろう?
疑問に思ってあやめさんの手を眺める。
あやめさんは、お盆を握ってしっかり支えている・・・・つもりのようだ。
実際は、手から少し離れていてフヨフヨと浮いている。
・・・・霊力とか言うやつだろうか。
しかも、あやめさん自分で自覚無しに使ってるし。

「・・・・相沢、気にしたら駄目だ」

北川だ。
俺があやめさんの手の付近を不思議そうに眺めていたので気づいたらしい。
この様子だと、北川は前から知ってたみたいだな。


「うぐぅ・・・・驚いたよ」
「あうー、真琴も」
「あら、気付いたの?」

いつの間にやら、二人とも気が付いていたらしい。

「覚悟はしてたけど・・・・やっぱり実物見ると怖いよぉ」
「あやめさんはそんなに怖くないわよ」
「うぐぅ・・・・でも、やっぱりだめ~」

そう言って、あゆは俺の背中に隠れてあやめさんの方を盗み見ている。
やれやれしょうがないな、まったく。





それから―――。

お茶を飲んでしばし談笑した後、名雪と天野があやめさんに現代機器の使い方を教える為に奮闘を始めた。
ちなみに、ついでだからあゆと真琴も教わっている。
こいつらもあやめさん程ではないにせよ、現代機器の扱いがイマイチだからな。
この機会にみっちりと叩き込んでもらおう。



「それから、ここをこうすると・・・・」
「まぁ、不思議ですわねぇ」
「それで・・・・」

天野が熱心にあやめさんにご教授している。
何と言うか・・・・天野、あやめさんと話してても違和感感じないな。
やっぱり、おばさんくさ・・・・。

「失礼ですね、物腰が上品と言ってください」
「・・・・私は何も言ってないわよ」
「言わなくても、相沢さんの顔を見れば何を考えているのかぐらい分かります」

際ですか。
しかも、心の中の声でさえ最後まで言わせてもらえなかったし。
読心術が出来るのは秋子さんだけで充分なんだが。



「え~と、ここはこう・・・・」
「わ、わ、あゆちゃん違うよ」
「え?」

ちゅどーん!

「うぐぅ・・・・」
「あうー・・・・」
「うー・・・・真っ黒々助だよ~」

・・・・古いぞ、名雪。
と言うか。
何で電子レンジの使い方教わってるだけで爆発が起きるんだ。

「お、俺の家が・・・・」

北川は放心していた。
では、久しぶりに・・・・・『不憫な奴』。







結局その日は、あやめさんに教えるのよりもあゆと真琴に教える方が一苦労だった。
何故だ。



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