過去の遺作置き場
6月19日
「相沢、頼みがある」
放課後、帰ろうかと思った時に急に北川がそんな事を言ってきた。
「相沢、頼みがある」
放課後、帰ろうかと思った時に急に北川がそんな事を言ってきた。
「何よ、頼みって?」
「実は・・・・あやめさんに家事を教えてやってくれないか?」
・・・・はぁ?
「あの勢いよく炎を上げて燃える・・・・」
「それは火事だろ」
「面舵いっぱ~い、よーそろー」
「それは舵」
「嘘だと言ってよ!」
「加持さぁん!!・・・じゃないっ!! 相沢!お前真面目に聞く気あんのか?!」
どちらかと言えばないんだが・・・・まぁ、このぐらいにしとくか。
「冗談よ。で?何でまた、私があやめさんに家事を教えないといけないの?」
あやめさんは見た目からして家事とか得意そうなもんだけど・・・・。
「う~ん・・・・それがあやめさん、色々と家事やりたがるんだけど、何しろ大正時代の人だろ? 現代の機械の使い方とかさっぱり分からないみたいなんだよ」
「それで私に? それぐらい北川でも教えられるでしょ?」
「自慢じゃないが、俺は一切そう言うのはやらんから分からん」
・・・・胸を張って偉そうに言う事か。
「しょうがないわね・・・・分かったわ」
「おぉ!恩に着るぞ相沢!!」
バキィッ!
「・・・・だからってドサクサに紛れて抱きつこうとするんじゃないわよ」
「しゅ、しゅびばせん・・・・」
まったく、本当にしょうがないんだから・・・・。
・・・・・・はっ!?
いかんいかん、いつの間にか心の呟きまで女になってた。
最近意識してないと、いつの間にか女言葉になってるんだよな。
・・・・染まってきたんだろうか?
そして、そんなこんなで北川の家へ。
「ただいま~」
「お邪魔します」
北川の後に続いて家の中に入る。
「お帰りなさいませ、潤様」
玄関には三つ指ついてお出迎えをしているあやめさんの姿が・・・・。
さすがに大正時代の幽霊なだけあって、古風だな。
「あ、ほらほらあやめさん。こんな所まで出てきちゃ駄目だって」
そう言いながら、北川はあやめさんを中へ入るように促す。
「でも、潤様の帰ってくる気配がしたものですから・・・・」
「出迎えてくれるのは嬉しいけど、日の光は体に毒だろ?さ、入って」
「はい・・・・」
あやめさんは残念そうにしながら奥の部屋へと入って行く。
「ねぇ、北川・・・・何かあったの?」
「あやめさん、日の光を受けると凄く薄くなっちまうんだ。だからなるべく光の下には出さないようにしてるんだけど・・・・」
「そうなの・・・・」
やっぱりそう言う所は幽霊なんだなぁと実感してしまう。
普段のあやめさん見てると、幽霊だって事忘れてしまいそうになるもんなぁ。
「ところで、私は一体何を教えれば良いの?」
「そうだな・・・・とりあえず、洗濯機の使い方でも教えてやってくれないか」
「洗濯機ね・・・・分かったわ」
俺はあやめさんの消えた奥の部屋へと向かう。
「あやめさん、居る?」
「あ、祐子さん。何か御用ですか?」
「ちょっと来てもらえる?」
「はい、分かりました」
そう言うとあやめさんは俺の後をついてくる。
俺はあやめさんを連れて洗濯機の所まで来た。
「あやめさん、洗濯したいんだって?」
「え、えぇ。出来ることなら潤様のお洋服とかお洗濯して差し上げたいのですけど、ここにはタライも洗濯板もないものですから・・・・」
「あやめさん、洗濯板やタライなんて要らないのよ」
「まぁ、それではどうやってお洗濯するんですの?」
「それじゃ、あやめさんそこで見てて」
俺は洗濯籠の中に入った適当な洗濯物を洗濯機の中に放り込む。
洗濯機の中に水を入れると、洗剤を入れてスイッチを入れた。
「さ、あやめさんこれでオッケーよ」
「まぁ、ぐるぐると回って不思議ですわねぇ」
さぁ、これであやめさんも洗濯機を理解してくれるだろう。
「ところで、これはいつお洗濯するんですの?」
ぐあ・・・・。
前言撤回、まったく分かってなかった・・・・。
「あやめさん、これで洗濯してるのよ」
「洗わなくても宜しいんですの?」
「・・・・洗ってるのよ」
「まぁ、不思議ですわねぇ」
・・・・つ、疲れる。
俺は脱力しながら北川の居るであろう、リビングへと戻った。
「お、相沢。どうだった?」
「・・・・前途多難よ」
「そ、そうか。とにかく、がんばってくれ」
「頑張ったら、何かくれるの?」
「え、え~と・・・・そうだな、俺の感謝を捧げよう!」
「・・・・その言葉、忘れないでね」
それだけ言うと、俺は再びあやめさんの元に戻った。
結局、その日は日が落ちるまであやめさんに指導していたが、使い方は覚えてくれたのは僅かだった。
マ、マジで疲れた・・・・。
「実は・・・・あやめさんに家事を教えてやってくれないか?」
・・・・はぁ?
「あの勢いよく炎を上げて燃える・・・・」
「それは火事だろ」
「面舵いっぱ~い、よーそろー」
「それは舵」
「嘘だと言ってよ!」
「加持さぁん!!・・・じゃないっ!! 相沢!お前真面目に聞く気あんのか?!」
どちらかと言えばないんだが・・・・まぁ、このぐらいにしとくか。
「冗談よ。で?何でまた、私があやめさんに家事を教えないといけないの?」
あやめさんは見た目からして家事とか得意そうなもんだけど・・・・。
「う~ん・・・・それがあやめさん、色々と家事やりたがるんだけど、何しろ大正時代の人だろ? 現代の機械の使い方とかさっぱり分からないみたいなんだよ」
「それで私に? それぐらい北川でも教えられるでしょ?」
「自慢じゃないが、俺は一切そう言うのはやらんから分からん」
・・・・胸を張って偉そうに言う事か。
「しょうがないわね・・・・分かったわ」
「おぉ!恩に着るぞ相沢!!」
バキィッ!
「・・・・だからってドサクサに紛れて抱きつこうとするんじゃないわよ」
「しゅ、しゅびばせん・・・・」
まったく、本当にしょうがないんだから・・・・。
・・・・・・はっ!?
いかんいかん、いつの間にか心の呟きまで女になってた。
最近意識してないと、いつの間にか女言葉になってるんだよな。
・・・・染まってきたんだろうか?
そして、そんなこんなで北川の家へ。
「ただいま~」
「お邪魔します」
北川の後に続いて家の中に入る。
「お帰りなさいませ、潤様」
玄関には三つ指ついてお出迎えをしているあやめさんの姿が・・・・。
さすがに大正時代の幽霊なだけあって、古風だな。
「あ、ほらほらあやめさん。こんな所まで出てきちゃ駄目だって」
そう言いながら、北川はあやめさんを中へ入るように促す。
「でも、潤様の帰ってくる気配がしたものですから・・・・」
「出迎えてくれるのは嬉しいけど、日の光は体に毒だろ?さ、入って」
「はい・・・・」
あやめさんは残念そうにしながら奥の部屋へと入って行く。
「ねぇ、北川・・・・何かあったの?」
「あやめさん、日の光を受けると凄く薄くなっちまうんだ。だからなるべく光の下には出さないようにしてるんだけど・・・・」
「そうなの・・・・」
やっぱりそう言う所は幽霊なんだなぁと実感してしまう。
普段のあやめさん見てると、幽霊だって事忘れてしまいそうになるもんなぁ。
「ところで、私は一体何を教えれば良いの?」
「そうだな・・・・とりあえず、洗濯機の使い方でも教えてやってくれないか」
「洗濯機ね・・・・分かったわ」
俺はあやめさんの消えた奥の部屋へと向かう。
「あやめさん、居る?」
「あ、祐子さん。何か御用ですか?」
「ちょっと来てもらえる?」
「はい、分かりました」
そう言うとあやめさんは俺の後をついてくる。
俺はあやめさんを連れて洗濯機の所まで来た。
「あやめさん、洗濯したいんだって?」
「え、えぇ。出来ることなら潤様のお洋服とかお洗濯して差し上げたいのですけど、ここにはタライも洗濯板もないものですから・・・・」
「あやめさん、洗濯板やタライなんて要らないのよ」
「まぁ、それではどうやってお洗濯するんですの?」
「それじゃ、あやめさんそこで見てて」
俺は洗濯籠の中に入った適当な洗濯物を洗濯機の中に放り込む。
洗濯機の中に水を入れると、洗剤を入れてスイッチを入れた。
「さ、あやめさんこれでオッケーよ」
「まぁ、ぐるぐると回って不思議ですわねぇ」
さぁ、これであやめさんも洗濯機を理解してくれるだろう。
「ところで、これはいつお洗濯するんですの?」
ぐあ・・・・。
前言撤回、まったく分かってなかった・・・・。
「あやめさん、これで洗濯してるのよ」
「洗わなくても宜しいんですの?」
「・・・・洗ってるのよ」
「まぁ、不思議ですわねぇ」
・・・・つ、疲れる。
俺は脱力しながら北川の居るであろう、リビングへと戻った。
「お、相沢。どうだった?」
「・・・・前途多難よ」
「そ、そうか。とにかく、がんばってくれ」
「頑張ったら、何かくれるの?」
「え、え~と・・・・そうだな、俺の感謝を捧げよう!」
「・・・・その言葉、忘れないでね」
それだけ言うと、俺は再びあやめさんの元に戻った。
結局、その日は日が落ちるまであやめさんに指導していたが、使い方は覚えてくれたのは僅かだった。
マ、マジで疲れた・・・・。
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