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過去の遺作置き場
2024年03月28日 (Thu)
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2002年09月13日 (Fri)
7月28日 その1



「名雪ーっ、起きなさーい!」
「うにゅ・・・・」
「ほらほら、今日は皆で水着買いに行くんだから。とっとと起きる!」

ガバッと名雪の被っている布団を剥ぎ取る。
それにしても、この暑いのによく布団被って寝てられるわね。

「う~・・・・けろぴーに水着~・・・・?」

・・・・何でそこでけろぴーが出てくるのよ。
第一、けろぴーに水着着せてどうするつもり?

「名雪・・・・いい加減起きないと置いてくわよ? そしたら海では名雪だけ水着なしになるわね」
「?!(ガバッ) そ、それは困るよ!ってあれ? 祐子ちゃん」
「ようやく目が覚めたのね・・・・早く着替えてよ? もう真琴もあゆも準備できてるんだから」
「う、うん」

はぁ、いつもの事とは言えホント疲れるわね・・・・。






「あら祐子さん、名雪は起きました?」
「あ、はい」

名雪を起こしてリビングに戻ってくると、秋子さんに声をかけられた。
あゆと真琴は、どこ行ったのかしら?

「あゆちゃんと真琴なら、待ちきれなくてもう玄関の外で待ってますよ?」
「え?」

外でって・・・・子供じゃないんだから。
・・・・でも、あの二人だと否定できないかも。

「うにゅ・・・・おはようございます~」

そんな事を考えてたら、名雪が降りてきた。
もう着替えて準備も出来て・・・・って、

「名雪、あなた制服着てどこ行くつもり?」
「うにゅ・・・・あれ、せいふく・・・・?」

不思議そうに自分の着ている制服を眺める名雪。
って言うか、言われるまで気付かなかったわけ?

「とっとと着替えてきなさい」
「・・・・だお~」

そう言うと、名雪は自分の部屋に戻っていった。
ほんとにもう・・・・。


「あ、そうそう。お金祐子さんに渡しておきますね」

名雪が居なくなった後、思い出したかのようにそう言って私に札束を渡す秋子さん。
あ、秋子さん、すみませ・・・・って、札束?!

「あ、秋子さん! いくらなんでもこんなには・・・・!」
「あらあら、そんな事ないですよ? 水着も結構値ののするものですから、これぐらいあった方が良いと私は思いますけど」

そ、そんな事言われても・・・・。
手渡された札束は、ゆうに50万ぐらいはありそうなんですけど(汗)
ほんと、秋子さんってどんな仕事してるんだろ?


「うにゅ~、着替え終わったよ~」

そう言いながら、再びリビングに現れる名雪。
・・・・今度はちゃんと私服に着替えてるわね。
ただ・・・・。

「名雪、暑くない?」
「暑いお~」
「・・・・脱ぎなさい」
「うにゅ」

私の言葉に従い、素直に羽織っていたコートを脱ぐ。
って言うか、いくら寝ぼけてるって言っても何でコートなんか着てくるかな、この娘は。
コートの下は、普通の夏っぽい私服だった。
ふぅ、これでようやく出かけられるわ。

「それじゃ、行くわよ名雪」
「う~、私の朝ごはんは~?」
「そんなの、途中で何か買って食べれば良いわよ。それよりとっとと行くの!」

いい加減にしないと、真琴とあゆが外で日射病で倒れかねないもの。
もう30分ぐらいほったらかしだし・・・・。
それでも、家の中に戻ってこないけど。
よっぽど、水着買いに行くのが楽しみなのね。

「う~、私のいちごじゃむ~」

しつこく唸り続ける名雪を引きずりながら、私は外に出た。

むわっ。

「う・・・・」

外に出た途端に、まとわりつくような暑い空気が体を覆う。
・・・・やっぱり戻ろうかしら?

「あうー! 二人とも遅いじゃない!!」
「うぐぅ・・・・ボク、暑くてもう死にそうだよ・・・・」

元気に文句を言ってくる真琴と、対照的に今にも倒れそうなあゆ。
真琴は良いとして、あゆはこんな状態で行けるのかしら?

「う~、暑いんだお~」

そう言って、名雪は家の中に戻ろうと・・・・って、

「名雪、家の中に戻っちゃ駄目でしょうが!」
「う~、だって暑いもん・・・・」
「・・・・いつも部活で慣れてるでしょ?」
「それでも暑いものは暑いんだおー。お腹も空くし最悪なんだおー」

あーもうっ。

「ほら、いつまでも文句言ってないでとっとと行くわよ!」
「あ、待ちなさいよ祐子!」
「うぐぅ・・・・お願いだから、もうちょっとゆっくり・・・・」
「暑いおー、お腹空いたおー・・・・くー」

・・・・・・・・。
うぅ、もう帰りたい。

まだ家を出て数十メートルだと言うのに、私はすでに挫折しかけていた。




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