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過去の遺作置き場
2018年05月28日 (Mon)
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2002年08月08日 (Thu)
今日は立秋。
暦上はもう秋なのよね・・・・。
気候だけで見ると、とてもそうは思えないけど。
今年も暑さ厳しい残暑になるわね・・・・。

今は夏休み。
だから特に理由でもなければ、わざわざ学校に来る事なんてない。
理由は人それぞれね・・・・部活とか夏期講習とか補習とか・・・・。
最後の理由で来ている人は寂しい夏休みって感じね。

ちなみに、私はそのどの理由にも当てはまっていない。
部活には入ってないし夏期講習なんて受けるつもりはさらさらない。
もちろん、私は成績は良い方なので補習でもない。
では、何しに来たかと言えば・・・・。

「あっれー?瑞佳、また来たの?」
「え?」

急に声をかけられて振り向くと、そこにはクラスメートの千夏が立っていた。
彼女は部活で来ているらしく、ユニフォームを着ている。
ちなみに千夏は陸上部だ。

「ほんとにあんた何しに来てるわけ?毎日々々、用なんか無いのに学校来て」
「そ、それは・・・・」
「あー、分かった分かった。それは聞かない約束だったわね」

私が何かを言う前に、勝手に自己完結してしまう千夏。
悪い子じゃないんだけど・・・・少しはこっちの話も聞いてから喋って欲しいな。

「千夏は今日も部活?」
「そうよ。もうこの暑い中、毎日走らされてバテバテよ」

そう言って、グテッとしたポーズを取る千夏。

「でも、楽しいんでしょ?」
「ま、ね・・・・それに私にはこれしか取り得ないし」

あんな事言ってるけど、千夏は結構何でもこなす万能少女だったりする。
勉強の方も真面目に真面目にしてる所なんか見た事ないのに、結構成績良かったりするし。
・・・・運動オンチな私にはちょっと羨ましいかな?


「おーい、如月!いつまで休んでるつもりだ!!」

突然、遠くから野太い男の人の声が響いた。
その声を聞いて、びくっとする千夏。

「あっちゃー・・・・ごめん、瑞佳。先生が呼んでるからもう行くわ」
「気にしないで。それじゃ部活頑張ってね」
「まっかせといてー!」

そう言いながら、千夏はグラウンドの方へ駆けて行った。


「さてと・・・・それじゃ、私もいつもの所に行こうかな」

そう呟いて、私は校舎の方へと歩き出した。









ギギィ・・・・。

錆付いた扉が嫌な軋み音を立てて開く。
普段、誰も出入りしないからしょうがないんだけど・・・・。
私は半開きのドアをくぐると、そこから外に出た。

出てきた所は屋上・・・・。
別に出入り禁止にはなっていないけど、滅多に人が出入りする事はない場所。
私はこの場所が気に入っていた。
人が滅多に寄り付かなくて静かだと言う理由もあるけれど・・・・。
それ以上にもっと違う理由がある。

私はフェンスの傍まで来ると、肘を乗せて寄りかかり下を見下ろした。
ここからだと、学校のグラウンドが一望できる。
そのグラウンドの一角・・・・サッカー部が練習している所を私は眺める。
いや、サッカー部そのものと言うより、サッカー部に所属しているある男子を見ていると言った方が正しいかも。


「上杉・・・・直弥くん・・・・」


私はその男子を見つめながら名前を呟いた。
私が毎日学校に来ているのは、これが理由。
上から照りつける太陽がかなり暑いんだけど、私は気にせず眺め続けた。

私は彼が好き・・・・。
今年に入って同じクラスになるより前・・・・入学式の時に初めて会った時から好きだった。
でも告白する事なんて出来ない。
何でもない男子と話すだけでも凄く緊張してしまうのに、好きな男子と面と向かって話すなんてとてもじゃないけど私には無理だ。
だから、私はこうやって彼から見えない所から、いつも見続けるだけ・・・・。
千夏に相談したりすれば、きっと『とっとと告白しちゃいなよ!』て言うんだろうな。



そんな事を考えていたら、いつの間にかサッカー部が後片付けを始めていた。

あれ?
もう部活終わったのかしら?
いつもより早いような気がするけど・・・・。
どっちにしろ、サッカー部の練習が終わっちゃうんじゃもうここに居る意味無いわね。
帰ろっと。






比較的涼しい校内から、昇降口を通って外に出る。
やっぱり暑い・・・・。
屋上で上杉くんの練習を見てる間は何とも思わなかったけど、今は暑いわ・・・・。

千夏はまだ練習中みたいね。
邪魔するのも悪いし、このまま帰ろうかな。


「あれ?緒川じゃないか」
「え?」

学校に来た時と同じようなタイミングで誰かに声をかけられる。
誰かと思って振り向くとそこに居たのは・・・・。

「う、上杉くん?!」

制服に着替えて、丁度帰るところの上杉くんだった。
まさか、帰るところで偶然会うなんて・・・・。

「お前、確か部活とか何もやってないだろ?何しに来たんだ?」
「え、あ、その・・・・そ、そう!忘れ物を取りに来たのよ」
「忘れ物?もう夏休み入って半分過ぎてるのに?」
「え、えぇ」

上杉くんは訝しげな目で私を見ている。
うぅ、やっぱりこんな言い訳通じるわけないわよね・・・・。

「ま、良いか。それより今帰る所なのか?」
「え、あ、うん、そう・・・・だけど」
「それじゃ、一緒に帰るか?」
「えっ?!」

う、上杉くんと一緒に帰る?!
上杉くんと・・・・上杉くんと・・・・・・・・も、もう駄目っ!

「あ、そ、その・・・・ごめん!私ちょっと用事あるからっ!!」
「え、おい、緒川!」

私は後ろから聞こえる上杉くんの声を無視して、その場を走り去った。







どれぐらい走ったのか・・・・私はいつの間にか近所の公園まで来ていた。
ずっと走り続けていたので、息が切れてしまっている。
私は、近くのベンチに腰を下ろした。
さっきの事を思い浮かべる。
上杉くんが私と帰ろうって・・・・。

あーん、もう私のばかばかばか!
何で逃げたりしたのよ、もう!
せっかく上杉くんと二人きりで帰れるチャンスだったのに。

・・・あ~あ、嫌われちゃったかな?
少なくとも、いきなり逃げ出したから変に思ってるだろうなぁ。
自己嫌悪・・・・。


「瑞佳?何してんの、こんな所で」
「え?あ・・・・千夏」

私が顔を上げると、そこには親友の千夏が立っていた。
制服を着てるって事はもう部活は終わったのかしら?

「校門の前で上杉と話してるかと思ったら、急に走り出して・・・・どこ行ったのかと思えば」
「え・・・・見てたの?」
「うん、ばっちり」

そう言ってウィンクする千夏。
う~、千夏に見られてたなんて・・・・恥ずかしいったらないなぁ、もう。

「ま、それは良いとして・・・・これから特に何か用事ある?」
「え?ないけど・・・・」
「じゃあさ、久しぶりにカラオケ行こうよ、カラオケ」

カラオケかぁ・・・・そう言えば、久しく行ってないわね。
行っても良いかな。

「分かったわ。行きましょ」
「そうこなくっちゃ!」


そして私と千夏は二人でカラオケを楽しんだ。









その夜―――。

「さてと・・・・日記も書いたし、もう寝ようかな」

日記帳を閉じて軽く伸びをすると私はそう呟いた。


Trrrrr・・・・
Trrrrr・・・・

あれ?電話だ・・・・。
私は椅子から立ち上がると、棚の上に置いてあるコードレスを手に取った。

「もしもし?」
『あ、緒川さんのお宅ですか?上杉って言いますけど・・・・』
「えっ、上杉くん?!」

びっくりした。
一瞬心臓が口から飛び出るかと思うぐらい。
上杉くんがうちに電話かけてくるなんて・・・・。

『あ、緒川か?』
「う、うん。そうだけど・・・・」

自然と私の声がいつもより高くなる。

『緒川、今日はごめん!』
「え?」

急に上杉くんが謝ってきた。
私、上杉くんに何かされたっけ?
私の方から謝らないといけないような事はあったけど・・・・。

「ど、どうしていきなり謝るの?」
『緒川さ、今日急に帰っちゃっただろ』
「う、うん」
『それでさ、もしかして俺が気に触る事言って怒らせちまったのかと思って・・・・』
「そ、そんな事ないわよ!むしろ私の方が謝らないと・・・・急に逃げ出したりしちゃってごめんなさい!」
『いや、緒川が謝る事ないよ。それに別に怒ってないなら良いんだ。それだけがちょっと気がかりだったから』
「そ、そうなんだ」

私の胸はどんどん動悸が早くなっていた。
もう止まらないくらいに。

『それじゃ、用件はそれだけだから・・・・』
「あ、上杉くん待って!」
「何?」
「あの、その・・・・電話くれてありがと・・・・」
『はは、どういたしまして。それじゃ、お休み緒川』
「え、えぇ、お休みなさい」

ガチャ。

上杉くんが電話を切った音を確認すると、私もコードレスを置いた。

「・・・・ふふ」

私は自然と笑みがこぼれる。
良かった・・・・上杉くんに嫌われてなくて。
それどころか、彼の方から電話してくるなんて・・・・。

私はそんな事を考えながら、ベッドにもぐりこむ。
今日は、良い夢見れると良いな・・・・。





そして、私はいつの間にか眠りについていた・・・・。





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