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過去の遺作置き場
2024年04月19日 (Fri)
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2002年09月15日 (Sun)
ギシッ・・・・ギシッ・・・・。
ガチャ、バタン。

「うにゅ~・・・・けろぴーが二人・・・・」

・・・・どうして、二人も居るのかな?
これじゃ、わたしが寝れないよ・・・・。

「うにゅ・・・・けろぴーはここ」

自分の寝る場所を確保しようと、片方のけろぴーをどかそうとするけど・・・・。

ぐっ・・・・。

「・・・・う~・・・・重いよ~」

何故かけろぴーはびくともしなかった。
こんなにけろぴーが重いはずないのに・・・・何でだろ?

「うにゅ・・・・眠い・・・・」

もう限界だよ・・・・このまま入っちゃおう・・・・。
寝ぼけた頭でそう考えて、わたしはゴソゴソと無理矢理ベッドの中に潜り込んだ。





         ◆ ◆ ◆ ◆






「むぅ・・・・ん・・・・?」

俺は、妙な感覚を覚えて目を覚ました。
カーテンの隙間から漏れる光を見る限り、もう朝らしい。
しかし・・・・何だ?
妙にベッドが狭いような・・・・。
もしかして、また真琴が潜り込んで来たのか?
まったく・・・・しょうがないな、真琴は・・・・。
そう思いながら俺は、横を向いた。

「す~・・・・」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ!?

お、思わずフリーズしてしまった・・・・。
これは何かの冗談か?
何で俺のベッドの中に真琴は真琴でも真琴”先生”の方が居るんだ?
そして、その横でベッドから身体半分はみ出した状態で名雪が寝ているのは何故だ?

「うぅん・・・・す~」
「く~」

俺の疑問を他所に、真琴先生と名雪はまったく起きる気配が無い。
つーか・・・・真琴先生のこの格好は何?
何でカッターシャツ一枚羽織っただけの姿なんだ?
確か、秋子さんが自分のパジャマを貸してあげたはずなのに・・・・。
しかし、そんな事を考えながらも俺の視線は真琴先生に釘付けだった。
シャツ一枚だけの姿で寝る真琴先生は、非常に色っぽい。
開いた胸元から・・・・た、谷間が・・・・。

そ~っ・・・・ふにゅ。

や、柔らかい・・・・じゃなくてっ!
落ち着け、何血迷ってるんだ俺は!?
こんな事やってる場合じゃないだろう!
もし、この状況を誰かに見られたら只じゃ済まないぞ?!

・・・・ま、まぁ、名雪の方は何とでも誤魔化せるかも知れないが。
真琴先生に関しては・・・・なぁ。
う~む・・・・どうしたものか。



「うぅん・・・・あ・・れ・・?」

俺が色々と苦悩していると、真琴先生は目を覚ましたらしい。
眠たげに目を擦りながら、身体を起こす。
そして、俺の顔をじーっと見て、

「・・・・ねぇ、どうして祐一君が私のベッドで寝てるの?」

などとのたまった。
・・・・真琴先生、ボケボケです。

「真琴先生・・・・俺が先生のベッドで寝てたんじゃなくて、先生が俺のベッドで寝てたんですよ」
「え?」

俺の言葉に、頭の上に『?』を一杯浮かべた真琴先生は、部屋をキョロキョロと見回した。

「そう言えば・・・・寝た時と部屋が違うわね・・・・」

首をかしげながら、真琴先生はそんな事を言う。
その時に腕を組んだ為、胸元の隙間から見える物が強調されて・・・・って、そう言えば!

「真琴先生・・・・何でそんな格好で寝てたんですか? 確か秋子さんがパジャマ貸してあげてたはずなのに・・・・」
「あら?そう言えばそうね・・・・何でだろ?」

真琴先生は、さっき以上に頭の上に『?』を浮かべている。
・・・・自分でも分かってないのか。

「と、とりあえず自分の部屋に戻ってください・・・・こんな所誰かに見られたら・・・・」
「あ、それもそうね・・・・って、この娘・・・・名雪さんは良いの?」
「え?」

あ、そう言えばこいつも居た事を忘れてた・・・・。
・・・・でも、今起こすと後々面倒だな。

「後で俺が起こしますから、とにかく真琴先生は戻ってください」
「そう?」

そう言って、真琴先生はベッドから降りた。
どうにか、誰にも見られずに乗り切れ・・・・。


ガチャ。


「祐一さん、そろそろ起きて・・・・」

・・・・無かった。
ドアを開けた人物は秋子さん。
何でこうもタイミング良く・・・・いや、悪いのか。
とにかく、何か弁解を・・・・。


「了承」


バタン。


俺がどう言い訳しようかあたふたしていると、秋子さんはそう一言だけ言って戸を閉めてしまった。
って言うか、了承しないでください秋子さん・・・・。

ガチャ。

「あらあら、やっぱりそう言うわけにはいきませんね」

再びドアを開けて、秋子さんがそう言いながら入ってきた。
しかし、それでもどこか嬉しそうに微笑んでるのは俺の気のせいなのだろうか?

「それでは、私は名雪を部屋に連れて行きますから・・・・先生は、自分の部屋に戻ってくださいね」
「あ、は、はい。どちらにしろ今から戻るつもりでしたから・・・・」

そう言って、真琴先生は一足先に部屋を出て行く。
その時顔が赤かったのは・・・・多分、あの格好のせいだろうな。

「祐一さん、早く着替えて準備した方が良いですよ。名雪は私が起こしておきますから・・・・」
「あ、すみません秋子さん」
「うふふ、良いんですよ。それでは、急いでくださいね」

そう言うと、秋子さんは微笑みながら名雪を引きずって部屋を出て行った。
つーか、秋子さん・・・・実の娘に対する扱いがちょっと酷くないですか?
襟首引っ張ってるから、名雪が窒息してるような気がするんですけど・・・・。
・・・・間違っても永眠させたりしないでくださいよ、秋子さん・・・・。



「・・・おふぁようございます」

結局、一度部屋に戻った名雪が下に降りてきたのは、既に家を出ているべき時間になってからだった。
やはり、秋子さんと言えども手間取らされたらしい。
無論、俺と真琴先生はとっくに準備ができている。

「よし、行くぞ!!」

玄関までダッシュ。
速攻で靴を履き、後はこのスピードに乗って外まで・・・、

「え、えっと、祐一君?」

というところで止められた。
振り向くと、困った顔の真琴先生。

「先生、時間が無いんです! 急いでください!!」
「そ、それはわかってるんだけどね、その・・・名雪ちゃんが」

珍しくキレの悪い話し方をする真琴先生。

「名雪がどうしたんです?」
「・・・寝ながらご飯食べてるの」

信じられないものを見た、といった感じで呟く先生。
どうやらあのバカがいつもの条件反射で食卓に着いたらしい。

「名雪~~~~!!」

叫びながらダイニングへと引き返す俺。

「う~ん、いつ見てもすごいよね」
「絶対健康に悪いわよ、これ」
「いちご~、いちご~」

見ると、水瀬三姉妹揃い踏みだ。

「・・・・・・」

無言で襟首を掴み、引きずる。

「ダメだよ祐一君、完全に極まってるよ!」
「すごいすごい、これが本物の『ちあのーぜ』ね」

外野は無視だ、無視。
はあ・・・どうやら今日のマラソンは自己ベストに挑戦する羽目になりそうだ。







         ◆ ◆ ◆ ◆






「で、結局こうなるのか・・・・」
「う~・・・・わたしのいちごじゃむ~」
「やかましい! いい加減諦めろ!!」
「う~、祐一極悪人だよ~」
「祐一君達って、毎朝こんな事やってるの?」

少し呆れ気味に、真琴先生がそう言ってくる。
まぁ、無理もないが。
今、俺達は走っている。
3人一緒に。
いつもより早く起きれたのに、名雪一人が起きなかったせいで結局いつもと同じだ。
まったく、真琴先生まで居るってのに・・・・。

「あ」

突然、名雪が走りながら声を上げた。
・・・・何か嫌な予感がするのだが。

「どうした、名雪?」
「一生懸命に走らないともう間に合わないよ」
「・・・・マジか?」
「マジ、だよ」

はぁ・・・・とにかく走るしかないか・・・・。

「真琴先生。ちょっとこのままのペースだと間に合いそうにないんで全力で走りますけど良いですか?」
「大丈夫よ。それに、どっちにしても走らないと間に合わないんでしょ? 先生が遅刻するわけには行かないものね」

そう言って、真琴先生は頷いた。
さて、いつも朝鍛えてる俺達についてこれるかどうかは微妙だけど・・・・。
とにかく、走るぞ!

「じゃあ、名雪。行くぞ!」
「うん!」

そして、俺達はスピードを上げた。









「な、何とか間に合った・・・・」

ゼイゼイ言いながら、学校の門をくぐる。
時間は、予鈴のなるほんのちょっと前。
どうにか間に合ったらしい。

「それにしても・・・・」

俺は、涼しげな顔で歩く真琴先生を眺める。
・・・・何で、あんなに走って息一つ切らしてないんだ。

しかも・・・・。

「う~・・・・負けちゃったよ・・・・」

暗い声で名雪がそう呟いた。
そう。真琴先生、名雪よりも速かったのだ。
全速力で走る名雪相手だと、俺でもついて行くのがやっとなのに・・・・。

「ん? 祐一君、私の顔に何かついてる?」
「い、いやそう言うわけじゃなくて・・・・真琴先生って走るの速いんだなって・・・・」
「あぁ。私これでも中学から大学までずっと陸上やってたのよ? 全国大会で2位にまでなった事あるんだから」
「マジ?!」

全国大会で2位って・・・・そりゃ早いわけだ。
いくら名雪でも、まったく敵わないのも頷ける。

「それじゃ、ここでお別れね。私は職員室に行くから。二人ともまた後でね~」

そう言って、真琴先生は走って行ってしまった。
しかし・・・・。

「う~・・・・真琴先生って完璧(パーフェクト)超人?」
「そ、そんな事はないと思うが・・・・」

人間、誰しも何かしら弱点はあるものだけど・・・・。
でも、今の所真琴先生の苦手そうなものって見た事ないからなぁ。
むぅ・・・・。


キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン。


「あ、祐一予鈴だよ!」
「やばい! 急ぐぞ名雪!!」
「うん!」

俺達は学校へ来る時よりも早いスピードで階段を駆け上がり教室へとなだれ込んだ。



・・・・でも、遅刻だったけどね。
はぁ・・・・何のために走ったんだか・・・・。

ちなみに、真琴先生も怒られてたらしい。
予鈴1分前に登校なんて、教師としては遅刻なんだってさ。
教師も結構大変だなぁ。




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