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過去の遺作置き場
2017年09月26日 (Tue)
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2002年07月29日 (Mon)
6月14日



キ~ソコ~ンカ~ンコ~ソ。

放課後を告げるチャイムが鳴り響く。
俺は誰か一緒に帰るやつは居ないかと辺りを見回すが・・・・。
名雪と香里は早々と部活に行ってしまっていて居ない。
今日は、栞や天野も来ないし・・・・。

「よぉ相沢、今帰るところか?」

そう声をかけてきたのは・・・・北川か。

「そうだけど、何?」
「たまには一緒に帰ろうぜ」
「北川と?」
「そう、俺と」

たまにはどころか初めてのような気もするが・・・・。
ま、良いか。

「良いわ、それじゃ帰りましょ」
「よし」

何が『よし』なのか分からないが、北川は小さくガッツポーズした。









俺と北川は、学校の帰り道を二人並んで歩く。
よく考えると珍しいツーショットだ。
大抵が他に誰か女の子が一人や二人は居るからな。

「なぁ、相沢」
「ん、何?」

北川が話しかけてきたので、顔だけをそちらに向ける。

「お前、女になってから長いよな」
「そう・・・・だっけ?」

俺はいつからだったかと頭を巡らす。

「だって、もう半月以上は経ってるだろ?」
「・・・・まだ一月も経ってないじゃない」

この程度ならまだまだ長いとは言えないと思うが・・・・。

「充分だよ」
「そう言うものかな・・・・」

俺はふっと空を見上げた。
そう言えば・・・・秋子さん、ちゃんと元に戻れるジャム作ってくれてるんだろうか?
あれからこの件に関しては全然音沙汰ないからなぁ。
俺はフゥと溜息を漏らした。



いつの間にか、俺たちは公園のような所を歩いていた。
ここは・・・・確か、栞と初めて会った場所だったっけ・・・・。

「なぁ、相沢・・・・」

不意の北川の声に、俺は振り向く。

「何?」
「あれ・・・・何だろ?」

そう言って北川の指差す方には数本の木があるだけ・・・・。
特に変わったものは見当たらない。

「何も見当たらないけど・・・・」
「よく見ろよ。そこの木のうちの一本だけ・・・・何か揺らめいて見えないか?」

北川に言われてよく目を凝らす。
・・・・確かに数本ある木のうち、一本だけがまるで蜃気楼のように揺らめいていた。

「何かしら・・・・?」

もうちょっとよく見ようと、二人でその木に近づく。

すると、今まで曖昧に揺らめいていたそれは、ぼんやりと透けてはいたがはっきりとその姿をかたどっていく。
その姿は・・・・15,6歳ぐらいの和服を着た少女だった。
頭にはピンクの髪止め(カチューシャか何か?)をしており、その足元近くまである長い黒髪が凄く神秘的に見えた。

俺たちが声も出せずにただ呆然と眺めていると、不意にその少女が口を開く。

「ずっと・・・・待っていました・・・・」

それだけ言うとその少女の姿は徐々に薄れて行き、やがて霞の如く消え去った。



「相沢・・・・」
「・・・・何?」
「見た・・・・よな」
「えぇ、見たわ・・・・」

俺と北川はお互いに顔を見合わせる。

「とりあえず、逃げよう!」
「あ、北川!ちょっと待ちなさいって!!」

一目散に走り出した北川を追って俺も走り出す。
ふと、振り返り先ほどの場所に視線を送る。

・・・・もう、そこには誰も居なかった。





どれぐらい走ったのか・・・・。
やがて俺たちは商店街に辿り着いた。
俺と北川は、ずっと走ってきたせいで息を切らしている。
それでも、普段から鍛えられている俺はまだマシだが。

「あ、相沢・・・・」

未だ息の整わない北川が、膝に手をついたままハァハァ言いながら話しかけてくる。

「俺たちは何も見なかった・・・・良いな?」
「良いの?」
「良いんだ」

そう言って、北川は身体を起こす。

「さ、帰ろう」
「帰ろうって・・・・もうここから先、道逆じゃない」
「う・・・・」
「そう言うわけだから、ここでお別れね」
「しまった・・・・せっかくのチャンスだったのに・・・・」

・・・・・・・・。

バキッ。
何のチャンスかは知らないが、とりあえず一発殴っておく。

「それじゃね、北川」
「うごごごご・・・・」

殴られた痛みに悶える北川を置いて、俺は家路に着いた。



それにしても、あの公園で見たあれ・・・・一体何だったんだろうな・・・・。



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