過去の遺作置き場
6月15日
夜の商店街を一人で歩く。
色々寄り道してたら、すっかり遅くなってしまった。
もうすっかり日は沈み、辺りは夕闇に包まれている。
「あの・・・・すいません」
「え?」
誰かに声をかけられて、後ろを振り向く。
そこには一人の女の子が立っていた。
夜の商店街を一人で歩く。
色々寄り道してたら、すっかり遅くなってしまった。
もうすっかり日は沈み、辺りは夕闇に包まれている。
「あの・・・・すいません」
「え?」
誰かに声をかけられて、後ろを振り向く。
そこには一人の女の子が立っていた。
「相沢さん・・・・ですよね?」
「そうだけど・・・・」
うちの学校の制服を着ている所を見ると、同じ学校らしい。
リボンの色からすると1年生か?
「すいません、北川さんの家って何処にあるか分かります?」
「北川の?そりゃあ分かるけど・・・・」
こんな可愛いと言っても差し支えない女の子が、北川の家に何の用なのだろうか。
俺が訝しげに見ていると、心中を察したのかその女の子は口を開いた。
「あ、別に私が用があるわけじゃないんです。用があるのはこっちの人で・・・・」
そう言って、後ろを振り返る女の子。
俺もその視線の先を辿る。
そこには・・・・昨日、あの公園で見た和服の少女が立っていた。
その少女は俺の方を見ると、ぺこりとお辞儀をする。
「その子は・・・・?」
「はい、公園で知り合ったんです。何をするでもなく、ただじっと木の下に立ってたからどうしたのかなって声をかけたんですけど・・・・」
「・・・・どうしたの?」
「それが聞いてください!」
急に怒気を含んだ声で、叫んだので思わず怯んでしまった。
「北川さんったら酷いんですよ!この女性・・・・あ、あやめさんって言うんですけど、ずっとあそこで北川さんを待っていたって言うんです!」
「北川を?」
「そうです!酷い話でしょう?!雨の日も風の日もずっと待ち続けていた恋人のあやめさんを、北川さんはずっと放っておいたんですから!!」
う~ん・・・・。
北川って確かずっと彼女なんて出来た事ないって言ってたよなぁ。
香里一筋のはずだし・・・・。
それに、彼女の言う事が本当だとしても北川はそんな薄情な奴じゃない。
確かに変な奴ではあるが・・・・それだけは言える。
あと、この和服の少女・・・・あやめさんって言ったっけか?
昨日のが見間違いじゃなければ、幽霊だと思うんだが・・・・。
「何かの勘違いとかじゃないの?」
「いえ、そんなはずありません!だってあやめさんの口から、はっきりと北川潤さんだって聞きましたから!」
「・・・・・・・・」
これは一度北川の家まで行って、実際に確かめる必要がありそうだな。
「それじゃ、連れてってあげるから一緒に行きましょ」
「あ、はい!」
さて、しばらくして北川の家についた。
部屋の明かりが点いているのを確認すると、おもむろに南(ここに来る途中に名前を聞いた)は呼び鈴を鳴らす。
「へいへ~い」
間抜けな声と共に扉が開かれ、北川が顔を出した。
「一体どちらさんで・・・・って、相沢。どうしたんだ?」
玄関前に立つ俺の顔を見て不思議そうな顔をする北川。
ま、俺が北川の家に来る事って滅多にないからな。
「あ、私は別に用は無いの。用があるのはこっち」
そう言って、俺は南とあやめさんを前に押し出す。
「え~っと・・・・どちらさん?」
「初めまして、私1年の朝霧南と言います。北川潤さんですよね?」
「あ、あぁ、そうだけど・・・・」
多少棘のある声で南が自己紹介をする。
北川は少し気圧されているようだ。
「あやめさん、こっちに来て・・・・この人に見覚えありますよね」
そう言って、あやめさんを北川の目の前に誘導する。
「あ・・・・潤さま・・・・」
「あ~~~~!!!!」
やっと会えた恋人(多分)を目の前にして、嬉しそうな顔をするあやめさん。
対照的に、あやめさんの方を指差していきなり大声を上げる北川。
近所迷惑な事この上ないな。
「やっぱり覚えがあるのね」
「あ、な、お、お前っ、何てものを連れてくるんだ!?」
「何てものって事はないでしょう!? あやめさんはね、ずっと公園で恋人であるあなたを待ってたのよ!!」
「ちょっと待て!何で俺が幽霊と恋人同士にならなくちゃならんのだ?!」
「え、幽霊?」
キョトンとして、南はあやめさんの方を振り返る。
「あやめさん、幽霊なの?」
「あら、そうなのですか?わたくしちっとも気が付きませんでしたわ」
そう言って首を傾げるあやめさん。
もしかして、自分が幽霊だと言う自覚がないのだろうか?
「・・・・あやめさんのどこが幽霊だって言うのよ。どう見ても普通の人間じゃない!!」
南は再び北川の方に向き直った。
「嘘なんかついてないぞっ。俺はこの目で、その女の子が霞の如く消え去るのを見たんだからな!?」
「そんな見え透いた嘘ついてないでとっとと・・・・」
そう言って、南があやめさんの手を取ろうとして声を詰まらせた。
・・・・すり抜けたのだ。
「え?あれ??何???」
そう言って、もう一度あやめさんの手を取ろうとする南。
しかし何度やっても手を掴む事は出来ず空を切るだけ。
「ほら見ろ、だから言ったじゃないか」
「・・・・本当に幽霊?」
「はぁ、そうみたいですわね」
よく分からないと言った顔のあやめさん。
やっぱり自覚がないらしい。
「さぁ、勘違いだと分かったんならこの幽霊連れてさっさと・・・・」
「きゃあああぁぁぁっっ!!!」
「「な、何(だ)?!」」
突然の悲鳴と共に、南は気を失って倒れてしまった。
「あ、み、南さん、大丈夫ですか?!」
そう言ってあやめさんが駆け寄り介抱しようとするが・・・・如何せん、幽霊では触る事すらできない。
「さて・・・・どうするの、北川?」
俺は呆然と立ち尽くす北川に声をかけた。
「いつまでも玄関先に突っ立っててもしょうがないと思うんだけど」
「・・・・と、とりあえず部屋まで連れて行こう」
「そうね・・・・」
それだけ言うと、俺たちは倒れたままの南を担ぐと北川の部屋へと向かった。
やれやれ、人騒がせな女の子だ。
「そうだけど・・・・」
うちの学校の制服を着ている所を見ると、同じ学校らしい。
リボンの色からすると1年生か?
「すいません、北川さんの家って何処にあるか分かります?」
「北川の?そりゃあ分かるけど・・・・」
こんな可愛いと言っても差し支えない女の子が、北川の家に何の用なのだろうか。
俺が訝しげに見ていると、心中を察したのかその女の子は口を開いた。
「あ、別に私が用があるわけじゃないんです。用があるのはこっちの人で・・・・」
そう言って、後ろを振り返る女の子。
俺もその視線の先を辿る。
そこには・・・・昨日、あの公園で見た和服の少女が立っていた。
その少女は俺の方を見ると、ぺこりとお辞儀をする。
「その子は・・・・?」
「はい、公園で知り合ったんです。何をするでもなく、ただじっと木の下に立ってたからどうしたのかなって声をかけたんですけど・・・・」
「・・・・どうしたの?」
「それが聞いてください!」
急に怒気を含んだ声で、叫んだので思わず怯んでしまった。
「北川さんったら酷いんですよ!この女性・・・・あ、あやめさんって言うんですけど、ずっとあそこで北川さんを待っていたって言うんです!」
「北川を?」
「そうです!酷い話でしょう?!雨の日も風の日もずっと待ち続けていた恋人のあやめさんを、北川さんはずっと放っておいたんですから!!」
う~ん・・・・。
北川って確かずっと彼女なんて出来た事ないって言ってたよなぁ。
香里一筋のはずだし・・・・。
それに、彼女の言う事が本当だとしても北川はそんな薄情な奴じゃない。
確かに変な奴ではあるが・・・・それだけは言える。
あと、この和服の少女・・・・あやめさんって言ったっけか?
昨日のが見間違いじゃなければ、幽霊だと思うんだが・・・・。
「何かの勘違いとかじゃないの?」
「いえ、そんなはずありません!だってあやめさんの口から、はっきりと北川潤さんだって聞きましたから!」
「・・・・・・・・」
これは一度北川の家まで行って、実際に確かめる必要がありそうだな。
「それじゃ、連れてってあげるから一緒に行きましょ」
「あ、はい!」
さて、しばらくして北川の家についた。
部屋の明かりが点いているのを確認すると、おもむろに南(ここに来る途中に名前を聞いた)は呼び鈴を鳴らす。
「へいへ~い」
間抜けな声と共に扉が開かれ、北川が顔を出した。
「一体どちらさんで・・・・って、相沢。どうしたんだ?」
玄関前に立つ俺の顔を見て不思議そうな顔をする北川。
ま、俺が北川の家に来る事って滅多にないからな。
「あ、私は別に用は無いの。用があるのはこっち」
そう言って、俺は南とあやめさんを前に押し出す。
「え~っと・・・・どちらさん?」
「初めまして、私1年の朝霧南と言います。北川潤さんですよね?」
「あ、あぁ、そうだけど・・・・」
多少棘のある声で南が自己紹介をする。
北川は少し気圧されているようだ。
「あやめさん、こっちに来て・・・・この人に見覚えありますよね」
そう言って、あやめさんを北川の目の前に誘導する。
「あ・・・・潤さま・・・・」
「あ~~~~!!!!」
やっと会えた恋人(多分)を目の前にして、嬉しそうな顔をするあやめさん。
対照的に、あやめさんの方を指差していきなり大声を上げる北川。
近所迷惑な事この上ないな。
「やっぱり覚えがあるのね」
「あ、な、お、お前っ、何てものを連れてくるんだ!?」
「何てものって事はないでしょう!? あやめさんはね、ずっと公園で恋人であるあなたを待ってたのよ!!」
「ちょっと待て!何で俺が幽霊と恋人同士にならなくちゃならんのだ?!」
「え、幽霊?」
キョトンとして、南はあやめさんの方を振り返る。
「あやめさん、幽霊なの?」
「あら、そうなのですか?わたくしちっとも気が付きませんでしたわ」
そう言って首を傾げるあやめさん。
もしかして、自分が幽霊だと言う自覚がないのだろうか?
「・・・・あやめさんのどこが幽霊だって言うのよ。どう見ても普通の人間じゃない!!」
南は再び北川の方に向き直った。
「嘘なんかついてないぞっ。俺はこの目で、その女の子が霞の如く消え去るのを見たんだからな!?」
「そんな見え透いた嘘ついてないでとっとと・・・・」
そう言って、南があやめさんの手を取ろうとして声を詰まらせた。
・・・・すり抜けたのだ。
「え?あれ??何???」
そう言って、もう一度あやめさんの手を取ろうとする南。
しかし何度やっても手を掴む事は出来ず空を切るだけ。
「ほら見ろ、だから言ったじゃないか」
「・・・・本当に幽霊?」
「はぁ、そうみたいですわね」
よく分からないと言った顔のあやめさん。
やっぱり自覚がないらしい。
「さぁ、勘違いだと分かったんならこの幽霊連れてさっさと・・・・」
「きゃあああぁぁぁっっ!!!」
「「な、何(だ)?!」」
突然の悲鳴と共に、南は気を失って倒れてしまった。
「あ、み、南さん、大丈夫ですか?!」
そう言ってあやめさんが駆け寄り介抱しようとするが・・・・如何せん、幽霊では触る事すらできない。
「さて・・・・どうするの、北川?」
俺は呆然と立ち尽くす北川に声をかけた。
「いつまでも玄関先に突っ立っててもしょうがないと思うんだけど」
「・・・・と、とりあえず部屋まで連れて行こう」
「そうね・・・・」
それだけ言うと、俺たちは倒れたままの南を担ぐと北川の部屋へと向かった。
やれやれ、人騒がせな女の子だ。
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