過去の遺作置き場
7月9日 その2
(昨日の続き―――)
(昨日の続き―――)
「ほ、本当にすみませんでした!」
そう言って、さっきからずっと私に謝り続けていた男の子は部活へと戻って行った。
私にはよく状況が理解出来なかったんだけど・・・・どうも、私の記憶喪失の原因らしいのよね、彼。
何か、横に転がってた砲丸の球を拾って戻っていったけど・・・・。
ま、まさかあれがぶつかったとかは言わないわよね?
・・・・普通死ぬわよ・・・・よく無事だったわね、私。
まぁ、良いわ。
それよりも今は、自分の事を知るのが先決ね・・・・。
「それで・・・・え~と、水瀬さんと美坂さん…だったかしら? 私の事を教えてもらえるのよね?」
私は男の子が見えなくなったの確認すると、私の知り合いらしい二人にようやく話を聞こうと・・・・。
「・・・・香里よ」
「え?」
いきなり口を開いたかと思うと、そんな言葉を口にする。
私には訳が分からない。
「私の事は香里って呼んで。相沢さんは、私の事をずっとそう呼んでいたから」
そう言って、香里は少し悲しそうな顔をした。
それと同時に、私の胸にまたさっきのようなちくんとした痛みが走る。
これは・・・・この痛みは・・・・。
「・・・・祐子」
「?」
さっきの私みたいに、よく分かっていない顔で私の方見る香里。
私はクスッと笑って、
「だから、私の名前は相沢祐子なんでしょう? だったら私の事も祐子って呼んでくれないと、フェアじゃないじゃない?」
そう言いながら軽くウィンクした。
何故だか分からないけど・・・・悲しそうな顔を見た時、香里の泣き顔は見たくないって思った。
・・・・あの胸の痛みと同時に。
理由は分からないけど。
「相沢さん…」
そんな私を見て涙ぐむ香里。
いけない、逆効果だったかしら。
「祐子よ。ゆ・う・こ」
「ゆ、祐子・・・・さん?」
「違う違う。ゆ・う・こ」
「ゆ、祐子・・・・?」
「ふふふ、よく出来ました」
私はにっこりと笑って、ちょっと馴れ馴れしいかなぁとも重いながら、香里の頭を撫でてあげる。
それに釣られるようにして、香里もようやく笑顔を見せてくれた。
うんうん、やっぱり可愛い女の子には笑顔が似合うわよね。
涙なんか似合わないわよ、やっぱり。
それにしても香里の笑顔って、凄く可愛くて綺麗ね~・・・・思わず、女の私でも見とれちゃいそう・・・・。
・・・・でも香里、何で頬がほんのりと赤く染まっているのかしら?
それに、心なしか目が潤んでるようにも見えるし・・・・何かだんだんこっちに近づいてきてるような気もするし・・・・え?
「祐子!!」
「え? え?? え???」
香里が私の名前を叫んだかと思うと、その次の瞬間には私は香里の胸の中に収まっていた。
何か顔に香里の柔らかいものが・・・・って!
「ちょ、ちょっと香里?! わ、私には多分こっちの趣味はない・・・・香里?」
「う・・・うぅ・・・・」
香里・・・・泣いてるの?
さっきまで笑ってたのに・・・・。
「ゆ、祐子・・・・ゆうこぉ・・・・」
私の名前を呼びながら、香里は嗚咽した。
そんな香里を私も抱きしめてあげながら、
「はいはい。もう、香里は甘えん坊さんね」
少しでも香里を安心させて上げようとする。
本当は自分のこと色々と聞きたかったんだけど・・・・今は少しお預けね。
今は多分、こうしている事の方が大事だと思うから・・・・。
それに・・・・そうしていると、何か安心するのよね。
あの、暗くて怖い感じがどこかに行っちゃうみたいで。
ずっとこうしていたいな・・・・。
あ、そう言えばもう一人の女の子・・・・え~と、水瀬さんは・・・・?
ふと気が付いて、目を向ける。
「・・・・わたし・・・・もう笑えないよ・・・・」
水瀬さんは、何故か目が虚ろになりダークなオーラを放ちながら自分に閉じこもり始めていた。
・・・・て、ちょっとまずいんじゃない!?
本当はもうしばらく香里とこうしていたかったけど、流石にそれどころじゃない。
私は香里から離れると、水瀬さん肩を掴んで揺すった。
「ちょ、ちょっと水瀬さん!」
「祐子ちゃん・・・・どうして私の事忘れちゃったの? どうして名前で呼んでくれないの? いつも、そうやって呼んでくれてたのに・・・・」
目に涙を浮かべながら、水瀬さんはそうやって私に訴えかけてくる。
痛っ・・・・。
また、さっきと同じ胸の痛み・・・・うぅん、さっきよりももっと痛い・・・・。
香里の時と同じ・・・・水瀬さんの涙を見た瞬間・・・・。
「ごめん、ごめんね名雪・・・・」
「うぅん・・・・本当に辛いのは、祐子ちゃんの方だもんね」
そう言って、名雪は私の頭を包み込むようにして抱きかかえた。
顔にポタポタと、冷たい雫がこぼれるのが分かる。
「祐子ちゃん・・・・」
香里と一緒・・・・やっぱり、名雪も泣いていた。
そんな感じで慰めて、香里と同じように名雪の方も一段落。
それにしても・・・・・。
私、本当にそっちの趣味じゃない・・・・わよね?
何か、自信なくなってきた・・・・。
そう言って、さっきからずっと私に謝り続けていた男の子は部活へと戻って行った。
私にはよく状況が理解出来なかったんだけど・・・・どうも、私の記憶喪失の原因らしいのよね、彼。
何か、横に転がってた砲丸の球を拾って戻っていったけど・・・・。
ま、まさかあれがぶつかったとかは言わないわよね?
・・・・普通死ぬわよ・・・・よく無事だったわね、私。
まぁ、良いわ。
それよりも今は、自分の事を知るのが先決ね・・・・。
「それで・・・・え~と、水瀬さんと美坂さん…だったかしら? 私の事を教えてもらえるのよね?」
私は男の子が見えなくなったの確認すると、私の知り合いらしい二人にようやく話を聞こうと・・・・。
「・・・・香里よ」
「え?」
いきなり口を開いたかと思うと、そんな言葉を口にする。
私には訳が分からない。
「私の事は香里って呼んで。相沢さんは、私の事をずっとそう呼んでいたから」
そう言って、香里は少し悲しそうな顔をした。
それと同時に、私の胸にまたさっきのようなちくんとした痛みが走る。
これは・・・・この痛みは・・・・。
「・・・・祐子」
「?」
さっきの私みたいに、よく分かっていない顔で私の方見る香里。
私はクスッと笑って、
「だから、私の名前は相沢祐子なんでしょう? だったら私の事も祐子って呼んでくれないと、フェアじゃないじゃない?」
そう言いながら軽くウィンクした。
何故だか分からないけど・・・・悲しそうな顔を見た時、香里の泣き顔は見たくないって思った。
・・・・あの胸の痛みと同時に。
理由は分からないけど。
「相沢さん…」
そんな私を見て涙ぐむ香里。
いけない、逆効果だったかしら。
「祐子よ。ゆ・う・こ」
「ゆ、祐子・・・・さん?」
「違う違う。ゆ・う・こ」
「ゆ、祐子・・・・?」
「ふふふ、よく出来ました」
私はにっこりと笑って、ちょっと馴れ馴れしいかなぁとも重いながら、香里の頭を撫でてあげる。
それに釣られるようにして、香里もようやく笑顔を見せてくれた。
うんうん、やっぱり可愛い女の子には笑顔が似合うわよね。
涙なんか似合わないわよ、やっぱり。
それにしても香里の笑顔って、凄く可愛くて綺麗ね~・・・・思わず、女の私でも見とれちゃいそう・・・・。
・・・・でも香里、何で頬がほんのりと赤く染まっているのかしら?
それに、心なしか目が潤んでるようにも見えるし・・・・何かだんだんこっちに近づいてきてるような気もするし・・・・え?
「祐子!!」
「え? え?? え???」
香里が私の名前を叫んだかと思うと、その次の瞬間には私は香里の胸の中に収まっていた。
何か顔に香里の柔らかいものが・・・・って!
「ちょ、ちょっと香里?! わ、私には多分こっちの趣味はない・・・・香里?」
「う・・・うぅ・・・・」
香里・・・・泣いてるの?
さっきまで笑ってたのに・・・・。
「ゆ、祐子・・・・ゆうこぉ・・・・」
私の名前を呼びながら、香里は嗚咽した。
そんな香里を私も抱きしめてあげながら、
「はいはい。もう、香里は甘えん坊さんね」
少しでも香里を安心させて上げようとする。
本当は自分のこと色々と聞きたかったんだけど・・・・今は少しお預けね。
今は多分、こうしている事の方が大事だと思うから・・・・。
それに・・・・そうしていると、何か安心するのよね。
あの、暗くて怖い感じがどこかに行っちゃうみたいで。
ずっとこうしていたいな・・・・。
あ、そう言えばもう一人の女の子・・・・え~と、水瀬さんは・・・・?
ふと気が付いて、目を向ける。
「・・・・わたし・・・・もう笑えないよ・・・・」
水瀬さんは、何故か目が虚ろになりダークなオーラを放ちながら自分に閉じこもり始めていた。
・・・・て、ちょっとまずいんじゃない!?
本当はもうしばらく香里とこうしていたかったけど、流石にそれどころじゃない。
私は香里から離れると、水瀬さん肩を掴んで揺すった。
「ちょ、ちょっと水瀬さん!」
「祐子ちゃん・・・・どうして私の事忘れちゃったの? どうして名前で呼んでくれないの? いつも、そうやって呼んでくれてたのに・・・・」
目に涙を浮かべながら、水瀬さんはそうやって私に訴えかけてくる。
痛っ・・・・。
また、さっきと同じ胸の痛み・・・・うぅん、さっきよりももっと痛い・・・・。
香里の時と同じ・・・・水瀬さんの涙を見た瞬間・・・・。
「ごめん、ごめんね名雪・・・・」
「うぅん・・・・本当に辛いのは、祐子ちゃんの方だもんね」
そう言って、名雪は私の頭を包み込むようにして抱きかかえた。
顔にポタポタと、冷たい雫がこぼれるのが分かる。
「祐子ちゃん・・・・」
香里と一緒・・・・やっぱり、名雪も泣いていた。
そんな感じで慰めて、香里と同じように名雪の方も一段落。
それにしても・・・・・。
私、本当にそっちの趣味じゃない・・・・わよね?
何か、自信なくなってきた・・・・。
PR
この記事にコメントする