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過去の遺作置き場
2024年04月18日 (Thu)
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2002年08月21日 (Wed)
7月7日



さて、今日は七夕なのだ。
そう言うわけで、今日は皆をうちに呼んである。
・・・・まだ誰も来てないが。
とりあえず、待つしかないか。

「あ、祐子さん。ちょっと良いですか?」
「はい?何ですか、秋子さん?」

キッチンで料理の準備をしていたはずの秋子さんがリビングに顔を見せる。
何か頼みごとだろうか?

「実は商店街のフラワーショップに笹を注文してあるんです。それで、悪いんですけど取りに行ってもらえませんか?」

笹か・・・・ま、それぐらい良いだろう。

「分かりました。それじゃ、ちょっと行ってきますね」
「えぇ、お願いしますね」

そんなわけで、秋子さんに見送られて俺は商店街へと向かった。






え~と、フラワーショップ『苗』・・・・ここだな。
商店街まで来て、目的の店を見つけた俺は中へと入った。

「あ、いらっしゃい。どんなご用件かしら?」
「え、え~と・・・・水瀬秋子の名前で笹を注文してあったと思うんですけど・・・・」
「あぁ、承ってるわよ。ちょっと待ってね」

そう言って、店員のお姉さんは奥へと消えた。
・・・・何と言うか、気さくな感じの人だな。
それに綺麗だし胸も大きかったし・・・・・・って、何考えてんだ俺は?!
普通、初対面の人相手にそんな事考えるか?
・・・・でも本当に大きかったなぁ、俺とどっちが大きいだろう?・・・・・・じゃなくてっ!
俺はやましい考えを振り払おうと、ぶんぶんと頭を振る。
はぁはぁ・・・・なんか俺、変だぞ・・・・。

「ど、どうしたの?髪振り乱したりして」
「え?」

いつの間にか戻ってきていた店員のお姉さんが、俺の惨状を見て驚いている。
どうやら、さっき頭を振った時になったらしい。

「あ、あははは・・・・・・・・な、何でもないです何でも」

とりあえず、笑ってごまかしながら手櫛で乱れた髪を元に戻す。
あ~、恥ずかしい・・・・。

「そう?それじゃ、これ注文してあった笹ね。ちょっと大きいから気をつけて」
「あ、はい。ありがとうございます」

そう言って、俺は笹を受け取る。
確かにちょっと大きいが・・・・まぁ、4mも5mもあるようなもんじゃないので全然問題ない。

「えっと、代金は・・・・」
「あ、先に貰ってるから良いわよ」
「あ、そうなんですか。それじゃ、これ貰って行きますね」
「はい、ありがとうございましたぁ♪」

店員のお姉さんの声を背中に聞きながら、俺は店を出ようと・・・・。

「ただいまぁ!って、うわっ?!」
「わっとと・・・・!」

・・・・したところで、突然来襲した小学生の女の子と鉢合わせしそうになってしまった。
何とか、横に避けたからぶつからなかったが。

「こら、あさみ!いきなり飛び込んできちゃ駄目でしょ!!」
「ぶぅ~。だって急いでたんだからしょうがないじゃん、早苗!」
「だからってねぇ・・・・!」

何故か俺を無視して、口論を続ける二人。
う~ん・・・・どう言う関係だろう。
親子・・・・と言うには、ちょっと年が近すぎるような気がするが・・・・。
まぁ良いか、俺には関係ないことだし。
それより、とっとと笹を持って帰ろう。
俺は踵を返して、足早にその場を後にした。








家に着いて玄関を開けると、何やら中が騒がしい。
よく見ると、玄関には普段よりも沢山の靴が散乱していた。
どうやら、皆もう来てるらしい。

「ただいまぁ。笹貰ってきたわよ」
「あ、遅いよ祐子ちゃん。もう皆集まってるのに」
「ごめんごめん」

名雪に謝りながら、持って帰ってきた笹をリビングの窓際に立てかける。
多分、ここに追いとけば良いだろう。


「おかえり、相沢さん。ご苦労様」
「あ、ありがと香里」

そう言いながら、香里が俺に擦り寄ってくる。
最近、どんどん大胆になってきたな・・・・。

「あ~!お姉ちゃんずるいですっ、私も~!!」
「あうー、真琴も真琴も!」
「ボ、ボクも負けてられないよ!」
「・・・・ぽんぽこたぬきさん」
「あははー、舞が行くなら佐祐理も行きますよー!」
「あ、あの、せっかくだから私も・・・・」

とか言いながら、一斉に俺に抱きついてくる女性陣。

「わわっ。ちょ、ちょっとストップストップ!って、きゃあっ!!」

一斉に皆に襲い掛かられた為、押し倒されるように床に倒れる俺。
その上に、積み重なるように皆が倒れた為、起き上がる事が出来ない上に苦しい。
だ、誰か助けてくれ・・・・。

「な、何か凄い状況ですね・・・・」
「・・・・こんな事で驚いてたら、相沢達とは付き合っていけないぞ」
「まぁ、さすが潤様ですね」

北川、南、あやめさんの3人が、我関せずと言った感じで俺達の惨状を眺めている。
て言うか、助けろよっ。


「あらあら、大変ですね」

そう言いながら、キッチンから秋子さんがリビングへやってきた。
名雪も一緒に着いている。
さっきから姿が見えないと思ったら、秋子さんを呼びに行っていたらしい。
・・・・しかし、相変わらずその口調からは大変さが伺えない。

「ほら、皆さん。いい加減にどかないと、祐子さんが潰れてしまいますよ?」

そう言って、秋子さんが皆をどかしてくれようとするが・・・・。

「嫌です!せめて祐子さんに一擦りしない限りはどきません!!」
「ここはあたしの指定席に決めたから、あたしもどかないわ」
「あうー!皆がどかないと動けない・・・・」
「ボクもだよ・・・・」
「・・・・このままが良い」
「あははー、舞がどかないなら佐祐理もどきませんよー」
「普段、出番が少ないんですから、こんな時ぐらい良い目見させてください」

各人、それぞれの言い訳を口にしながら、まったくどく気配がない。
あの~、そろそろどいてくれないと、俺窒息しそうなんですが?

「仕方ないですね・・・・じゃあ、皆さんそこから動かなくても良いですからこのジャムを・・・・」

シュバッ!ダダダダッ!!

言いかけて、秋子さんが懐からオレンジ色の物体を出そうとした瞬間、俺の上に居座っていた女子陣は一瞬の内に逃げ出してしまった。
・・・・いつの間にか、名雪も。
残されたのは、長時間上乗っかられていたせいで体が動かない俺と、何が何だかよくわかっていない北川、南、あやめさんの4人。
皆に逃げられて、残念そうにしていた秋子さんは、北川たちの姿を認めると、

「あら、良かったらこれ味見して貰えますか?」

と、嬉しそうな顔でジャムの瓶を薦めた。
秋子さん・・・・あなたって人は・・・・。

「良いんですか?じゃあ、ちょっと貰おうかな」
「あ、私も!」

そう言って、何も知らない二人はそのジャムの瓶に手を伸ばす。
あぁ、無知とは何と哀れな事か・・・・。


その後、水瀬家にはジャムを口にした二人の断末魔の悲鳴が上がるのだった。






ところで、七夕はどうなった?





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