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過去の遺作置き場
2024年04月16日 (Tue)
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2002年07月09日 (Tue)
昨日の雨のせいで、道の所々に水溜りが出来ている。
俺たちは、その水溜りを避けるようにして歩きながら学校に向かっていた。
もうかなり日が高い。
本当なら、走ってでも急いで学校へ行くところなのだが、皆のんびりしたものだ。


「ところで北川・・・・ってあれ?北川?」

俺は先ほどまで隣を歩いていた北川に声をかけようとしたら、いつの間にかいなくなっていた。

「どうしたの?」
「いつの間にか、北川が消えてる・・・・」
「・・・・どうせいつもの調子で雲隠れしたんでしょう?ほっとけばその内戻ってくるわよ」
「だと良いけど・・・・」

まぁ、どっちにしろいつもの事だ。
俺は気にしない事にした。






サララララ・・・・

「・・・・・・?」

突然、何かが風に吹かれるような音が耳に入った。
どことなく幻想的な・・・・聞いていると、心が落ち着くような音・・・・。
と、気が付くと俺はいつの間にか一面のススキ野原に立っていた。
夕暮れ時の夕日で赤く染まるススキ野原は、酷く幻想的で・・・・俺の心を引き込ませる。

「・・・・・・・」

ふと目やると、そこには3人の子供が遊んでいた。
ツンツンに立った髪の毛と長いモミアゲが印象的な男の子と栗色の髪の女の子・・・・そして、俺がいつか夢で見た龍と一緒に居た巫女服の少女そっくりな女の子・・・・。
3人は楽しそうにススキ野原で転げまわりながら遊んでいた。
見ていて妙な懐かしさを感じて目を閉じた。
子供の頃の・・・・あゆや名雪と遊んでいた時の記憶が思い出される。

そして、もう一度目を開けた時、先ほどまでのススキ野原は消え、俺は元の道に戻っていた。

「今のは・・・・一体・・・・?」

考えてみるが、さっぱり分からなかった・・・・。









学校に着くと、すでに他のクラスの奴らは準備を始めており、にわかに騒がしくなっている。

「すっかり遅くなっちゃったわね・・・・」
「今更、そんな事言ってもしょうがないわよ。早く教室に戻って準備を・・・・?」
「・・・・・どうしたの、祐子ちゃん?」
「・・・・あれ。何かプールの方が騒がしいけど・・・・」

そう言って俺はプールの方を指差す。
そこには沢山の人だかりが出来ていた。

「気になりますね・・・・行ってみましょう?」

そうだな・・・・。



「はい、ちょっとごめんなさいね・・・・」

そう言いながら人垣を掻き分けてプールの方に近づく。

「さて一体何が・・・・・んなっ?!」

そこで俺たちが見たもの・・・・それはプールの水に肩まで浸かった戦車だった。

「ふぇ、佐祐理の戦車が・・・・」
「無理も無いですね、この暑さですから・・・・」
「天野・・・・戦車は行水なんかしないわよ」
「あれ?ねぇ、あれ何かな?」

そう言ってあゆが指差したところを見ると、水面からプクプクと泡が出ている。

「・・・・・何、この泡?」

サバァッ。

「「「「「「「?!」」」」」」」
「ブハッ!な、何だ?!何で俺はプールの中になんか居るんだ?」

現れたのは北川だ。
なるほど・・・・。

「お、相沢。何やってんだ、そんなところで」
「そう・・・・そう言う事・・・・」

俺は隣に居た舞の手に持っていた剣をひったくる。

「あ・・・・私の剣・・・・」
「そう言う事だったのね! 北川、あなたどうあっても私達の学園祭を邪魔したいらしいわね!!もう許さないわ!!!」
「え、おい、相沢・・・・一体何を言って・・・・」
「問答無用・・・・死になさい」

そう言って剣を振りかぶる俺。

「わ、待て!違う、俺じゃない!!」

そう言いながら逃げる北川。

「信じられないのよ!待ちなさい!!」

サパーン!
俺もプールに飛び込み、逃げる北川を追う。

「そう簡単に斬られてたまるかって・・・・おぐぅわっ?!」

逃げ惑っていた北川に向かって、いきなり戦車の砲身が旋回してきて思いっきりぶつかる。
その勢いで北川は吹っ飛ばされた。
戦車のエンジンにはいつの間にやら火が入っている。
・・・・いつの間に?

「佐祐理の戦車・・・・許しません・・・・」

声がした方を見てみると、そこには黒いオーラを放ちながらリモコンを操作する佐祐理さんの姿が・・・・。
って、佐祐理さん、リモコン式だったんすか?

ウィーーーーン。

リモコンを操作して戦車を旋回させる佐祐理さん。
戦車の砲身を北川の方に向けると、

「さぁ、覚悟は良いですか・・・・?」

なんて事を言っている。
何つーか、こんな佐祐理さん初めて見た。

「よ、良くないですっ!」
「・・・・発射」
「む、無視ですかっ?!」


ドゴーーーーーン!


轟音と共に、砲身から弾が打ち出された。

「うっぎゃあーーーーー!!!」

彼方に吹き飛ばされる北川。


・・・・今度こそ死んだかな。
憐れな・・・・。










保健室。
秋子さんが、窓からプールの様子を覗いている。

「二度目は悲劇、三度目は喜劇と言いますけど・・・・一生やらせておくわけにもいきませんね・・・・」

そう言いながら、秋子さんは溜息を吐いた・・・。



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