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過去の遺作置き場
2017年10月23日 (Mon)
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2002年07月14日 (Sun)
「さ、行きましょ」

そう言って、香里さんがトラックの運転席に乗り込みました。
私達もそれに続いて、荷物と一緒に荷台に乗り込みます。

さて、それでは前回約束した通り、説明をしなければなりませんね・・・・。
あの後、何があったのか。
そして、何故こうなってしまったのか。
私は一冊の書きかけの本を取り出しました・・・・。









私の名は天野美汐。
かつては学校に通う平凡な一高校生であり、退屈な日常と戦い続ける生活者でした。
しかしあの夜、ハリアーのコクピットから目撃したあの衝撃の光景が私の運命を大きく変えてしまったのです。
ハリアーで水瀬家に強行着陸したその翌日から、世界はまるで開き直ったかのようにその装いを変えてしまいました。
いつもと同じ街、いつもと同じ角店、いつもと同じ公園・・・・ですが、何かが違う。最初、そう感じました。

路上からは行き来する車の影が消え・・・・。
建売住宅の庭先にピアノの音も途絶え、牛丼屋のカウンターで慌しく食事をする人達の姿も見なくなりました。
この街に・・・・いえ、この世界に。
私達だけを残し、あの懐かしい人々は突然その姿を消してしまったのです。



数日を経ずして、後輩・・・・ここ誤字ですね・・・・んんっ、荒廃と言う名のトキが駆け抜けて行きました。
かくも静かな・・・・かくもあっけない終末を一体誰が予想しえたと言うのでしょう。
人類が過去数千年にわたり営々として築いてきた文明と共に・・・・今、西暦は終わったのです。

ですが・・・・残された私達に取って、終末は新たなる始まりに過ぎません。世界が終わりを告げたその日から、私達の生き延びる為の戦いの日々が始まったのでした。



奇妙な事に、水瀬家の近くのコンビニエンスストアは、押し寄せる荒廃を物ともせずにその勇姿を留め、食料品、日用雑貨等の豊富なストックを誇っていました。
そして更に奇妙なことに、水瀬家には電気もガスも水道も依然として供給され続け、驚くべきことに新聞まで配達され続けているのです。
当然の如く、私達は人類の存続と言う大義名分の元に水瀬家を生活の拠点と定めました。

ですが、何故か倉田さんと川澄さんのお二方は早々と牛丼屋を開いて自活を宣言してしまいました。
と言っても、牛丼屋を主に経営しているのは川澄さんの方で・・・・倉田さんの方は、ほとんど一日中戦車を乗り回し、時折発砲を繰り返しています。
何でも秋子さんからの頼まれ事なんだそうですが・・・・一体、何をしているんでしょう?
気になります・・・・。



あの運命の夜から一体どれ程の歳月が流れたでしょうか。
しかし今、私たちが築きつつあるこの世界に時計もカレンダーも無用です。
私たちは衣食住を保証されたサバイバルを生き抜き、かつていかなる先達たちも実現し得なかった地上の楽園を、あの永遠のシャングリラを実現するでしょう。
あぁ・・・・選ばれし者の恍惚と不安は共に私の中にあります。
人類の未来がひとえに私達の双肩にかかっていることを認識するとき、眩暈にも似た感動を禁じ得ません・・・・。

眩暈・・・・。




クラッ・・・・バタッ。

「わ、天野さんどうしたの?」
「多分、日射病じゃないですか?この暑いのに、帽子も被らないでいるから・・・・」
「もう、天野さんもしょうがないわね。あれほど帽子被りなさいって言ったのに」





天野美汐 著
『我が街全史第一巻 ~終末を越えて~ 序説第三章』より抜粋。


こんな所ですね・・・・。
それでは、私は日射病で倒れてしまったのでここで・・・・。



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