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過去の遺作置き場
2017年12月13日 (Wed)
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2002年07月06日 (Sat)
「あ、もうすぐ駅ですね・・・」

そう言うと、私は立ち上がりドアの前まで移動しました。
毎日乗りなれていますから、いつ何駅目で降りるかなんて確認するまでもありません。

キキーッ。

耳障りな音と共にやがて電車が止まり目の前のドアが開きます。
割と急な止まり方をしたため、少しよろめいてしまいました。
ちょっと運転が乱暴ですね・・・・。
そんな事を思いながら電車を降り、ふと上を見上げた時、私は目を疑いました。
そこに書いてあるのは、間違いなく私が電車に乗り込んだ駅名・・・・。

「環状線・・・・だったのでしょうか・・・・?」

そう呟いた時、さっきの電車が終電だったのか駅の電気が消えていきました。









プルルルルルル・・・・・。
プルルルルルル・・・・・。

公衆電話で、秋子さんがどこかに電話をしている。
恐らく学校の石橋の所へかけているのだろう。
しかし、さっきから何度も呼び出し音が鳴っているのにいっこうに出てくる気配が無い。

やがて、秋子さんは受話器を下ろした。

「・・・・やはり、学校で一人にするべきではなかったかしらね・・・・」

そう呟くと、秋子さんは電話BOXを後にした。












「・・・・・佐祐理、もうこれで5回目」
「う~ん、今夜に限って変ですね~」

首をかしげながら佐祐理さんは呟く。
最初に陸橋のあるべきはずの道を間違えてから、何度も行き止まりにぶち当たっているのだ。

「・・・・そこ、左」

曲がり道のところで舞が言う。
運転手がその通りそこを曲がると・・・・。

「袋小路ですね~・・・・戻ってください」

元来た道をリムジンが戻っていく。


「・・・・佐祐理、私達帰れるの?」
「ふぇ?だ、大丈夫ですよ、舞」

そう言う佐祐理さんの声は震えていた。











再び、秋子さん。
秋子さんはタクシーを使って学校へ向かっていた。

「運転手さん、急いでくださいと言ったのですけど・・・・まだ着かないのですか?」
「はいはい、もうすぐですよ~」

どう考えてもタクシーの運転手には見えないような少女のような運転手がそう答えた。
秋子さんは電話BOXから出た後、急いで学校に戻る為にタクシーを捕まえたのだ。
急いでいたのは、もちろん石橋に連絡が着かなくなった為。
しかし・・・・もう恐らく手遅れだろう。
だが、それでも秋子さんは急がずにはいられなかった。


「表通りから学校までたかだか2,3分のはずだったと思うのですけれど・・・・やけにかかりますね」
「お客さん、みんな同じ事言うね・・・・タクシー乗ると、時間が延びるのかなぁ」

秋子さんの焦りなど気付きもしない運転手は、あっけらかんと答える。

「お客さん、亀に乗って竜宮城に行く話知ってます?」
「今、その気分を味わってます・・・・」

そう言いながら、秋子さんはフゥと溜息を吐く。


「もし・・・亀に乗ってったのが太郎だけでなく、村人全員だったらどうだったと思う?全員が竜宮城へ行って、そして揃って村へ帰ってきたとしたら、それでもやっぱり数百年の歳月が経ってた事になるのかなぁ。村人が誰一人気付かなかったとしても・・・・」
「・・・・何の話です?」

その運転手が言っている事は、昼間石橋が言っていた事と同じだ。
もし昼間に石橋からあの話を聞いてなければ、特に気にも留めなかっただろうが・・・。

「なまじ客観的な時間とか空間とか考えるからややこしくなるんじゃないかな?帯に短し末尾に長しって言うでしょう。時間なんて言うものは人間の自分の意識の産物なんだと思えば良いのよ。世界中に人間が一人も居なかったら、時計やカレンダーに何の意味もなくなるじゃない。過去から未来へきちんと行儀よく流れてる時間なんて、はじめから無いと思わないですか、お客さん?」

運転手の口調がいつの間にか、さっきよりも丁寧なものに変わっていた。
そしてその運転手が喋るごとに周りの空気が変わっていくように感じる。
秋子さんはそれを敏感に感じ取っていた。

(これは・・・・ちょっとまずいかしら・・・・)

「人間それ自体がいい加減なんだから、時間がいい加減なのも当たり前よ。きっちりしてたらそれこそ以上よ・・・・確かなのはこうして流れる現在だけ、そう思った方が良いんじゃないかしら」
「おもしろいですね・・・・これは本当に亀に乗ったのかも知れないですね」

そう言うと秋子さんは懐に手を持っていく。

「このまま竜宮城まで行きますか?安くしときますから」
「只の亀ではないでしょう?・・・・正体見せなさい!」

そう言うと、秋子さんは懐から出したオレンジ色の液体が入ったビンを振りかざす・・・・って秋子さん、それが武器ですか(汗)

その瞬間、目の前が前から来た車のライトで真っ白になり、タクシーが急ブレーキをかけた。
いきなりの急ブレーキに、秋子さんは姿勢を崩して座席に倒れこんだ。


「バカヤロー!どこ見て運転してんのよっ!!!」

運転手が外に向かって怒鳴っている。
女性の声だが・・・・さっきの声とは明らかに違う。
先ほどまでの運転手の声は少女っぽかったが、今の声は少し低めのハスキーボイスだ。

「大丈夫ですか、お客さん?」

そう言いながら、運転手が後部座席を覗いてくる。
その運転手からは・・・・さきほどまでの妙な感じは受けない。
明らかに別人だ。


「逃がしたみたいですね・・・・」

そう呟くと秋子さんは座席に座りなおした。

「せっかく新しいジャムの実・・・・ん、んんっ、この事件の犯人らしき人を捕まえられると思ったのですが・・・・」

秋子さん・・・・今、何を言おうとしたんですか(汗)
まさか、そっちが本当の目的じゃないだろうな、まったく・・・・。












雨の中、一人の少女が学校に向かって走っている。

「また学校に逆戻りですか・・・・」

天野だ。

「でもしょうがないですね・・・・他に行くあても無いですし・・・・」

結局電車の終電も行ってしまってどうしようもなくなった為、学校に戻ってきたらしい。
と、走る天野の横を1台のバスが通り過ぎる。
ちょうど天野が学校の門のところに辿り着く頃にバスも門の前に止まり、3人の客を降ろすとそのまま行ってしまった。
降りてきた3人と天野はお互いに見つめあう。
降車してきた3人は・・・・美坂姉妹と北川だった。


「・・・・学校の前だ・・・・元に戻ってきてやんの」

沈黙に耐え切れなくなったのか、北川が口を開く。
それにつられて栞も天野に話しかける。

「あの・・・・もしかして、天野さんもその・・・・?」
「えぇ・・・・闇を抜けて列車を降りると、そこは元の駅でした・・・・」

ハァ・・・・と4人が同時に溜息を吐く。
一体どうなっているのか・・・・。

と、急に目の前が明るくなり、タクシーが止まる。
中から出てきたのは・・・・・秋子さんだった。

「あら?あなた達、そんなところでどうしたのですか?」

その秋子さんの言葉と同時に、今度は横から車のライトが照らされる。
全員がそっちを振り向くと、今度は佐祐理さんたちのリムジンだった。

「佐祐理・・・・元に戻ってる」
「ふぇ、帰れません~」

そう言いながら降りてくる二人。



「う~ん、家にも帰れず学校にも戻れずとなると・・・・」
「行くところは一つですね」

そう言うと、秋子さんはニコリと笑った。









「と、言うわけで・・・・一晩宜しく」
「・・・・あんたらね」

家に帰れない全員は、秋子さんの了承の元、水瀬家に駆け込んだのであった・・・・。



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