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過去の遺作置き場
2018年01月20日 (Sat)
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2002年07月17日 (Wed)
舞と真琴消えてから数日。
俺達はあちらこちらを必死に捜索したが、結局見つける事は出来なかった。
なぜ二人は突然消えてしまったんだ・・・・。









世界の果て・・・・あの日、ハリアーの上から見た円形状の大地の端の絶壁。
ここに秋子さん、香里、佐祐理さんが来ていた。
香里は戦車のウィンチから伸ばされた命綱を体に巻きつけると、その断崖絶壁を少しづつ降りていく。
なぜこんなことをしているのか・・・・それは、香里が下に降り切れば分かるだろう。

ピピッ、ザー。
秋子さんの手に持ったトランシーバーから香里の声が聞こえてくる。

『・・・・秋子さん居ました。間違いなく真琴ちゃんです。それにここから少し離れてますけど、向こうの方には川澄先輩の像も・・・・』
「やはりそうですか・・・・」

秋子さんは、いったんトランシーバーを口元から離すとそう呟いた。

「ふえ・・・・舞は・・・・舞は居たんですか?」

佐祐理さんが悲愴の面持ちで秋子さんに聞いてくる。

「居たようですけど・・・・やはり石像になっていたみたいですね・・・・」
「そ、そんな・・・・舞・・・・」

そう言うと、佐祐理さんはその場に座り込んでしまった。
悲しみに歪んだその顔が何とも痛ましい。

『秋子さん・・・・どうするんですか?』
「そうですね・・・・おそらく、その石像をどんなに調べても無駄でしょうし、とりあえず上に引き上げますね」
『あ、はい。分かりました』

それだけ言うと、トランシーバーのスイッチは切られた。



(斉藤さんと久瀬さんだったかしら?あの人たちに関しては理由は分かりませんけど、事の真相にいち早く気付いた石橋先生、そして祐子さんから聞かされていた魔物を討つ者と妖狐・・・・何者かは分かりませんけど、この世界を作り出したその人はこの世界を崩壊させる可能性を持つ人間を石像にしていると考えた方が無難でしょう・・・・そうすると、次はどう考えても私か香里さんの番ですね・・・・)

秋子さんフゥと一息溜息を吐くと、空を見上げた。
雲一つない空は、どこまでも青く澄み渡っていた。










夜の学校。
湖に沈んでしまった今も、やはり夜は不気味だ。
その夜の学校の屋上・・・・フェンスにもたれかかったまま、秋子さんはこの屋上で人を待っていた。


「あ、秋子さん。お待たせしてすいません」

そう言って屋上に現れたのは、誰あろう祐子である。

「いえ、良いんですよ」
「それにしてもいきなりどうしたんです?急に話があるから学校の屋上に一人で来てくださいだなんて・・・・」
「それは、事の真相をあなたに話すためよ」
「え?」

突然聞こえた声に祐子が振り向くと、そこには香里が立っていた。

「香里・・・・秋子さんだけじゃなかったのね」
「そう言う事。とりあえず話があるの、座らない?」

そう言うと、香里はどこからともなくちゃぶ台と座布団を取り出した。






「で?」

座布団の上に座り、ちゃぶ台の上に乗せられたお菓子をつまみながら祐子は秋子さんと香里を交互に見据える。

「話って何なの?」
「この世界・・・・相沢さんはどう思う?」
「どうって言われても・・・・」

祐子はちょっと考える素振りを見せる。
香里は祐子の答えを待たず話に入った。

「あたしと秋子さんは、お互いに連絡を取りながらこの世界の事について調べていたわ。倉田先輩にも手伝ってもらったりしてね? それで一つの結論に達したのよ」
「結論?」

祐子がお茶を飲みながら香里に聞き返す。

「まずは順序だてて具体的に説明するわね。まずこれを見て」

そう言って、香里はちゃぶ台の真ん中におかれたお菓子の皿を指差す。

「このテーブルを巨大な亀の上に乗っているあたし達の世界と仮定するわ。相沢さんも見たわよね?」
「えぇ、見たわよ」
「そしてこの円のちょうど中心部・・・・このお菓子のお皿の置かれている所が私達が今住んでいる家・・・・つまり水瀬家になるの。これに関しては倉田先輩に戦車の主砲の到達距離から割り出してもらったから間違いないわ」
「この私達の家が文字通り世界の中心と言うわけになるんですよ」

香里の言葉に便乗するかのように秋子さんが口を開く。

「それでここから本題になるんだけど・・・・」

そこまで言って、香里は秋子さんの方に目配せする。
秋子さんはそれに頷くと、続いて説明をはじめた。

「こんな世界が亀に乗って空を飛んでいると言うだけでも充分異常なんですけど・・・・問題はさらに別の所にあるんです」
「別の所?」
「えぇ・・・・私達の家にだけガス水道電気が供給され続けているのか・・・・いえ、そもそもどこから供給されているのか・・・・請求書も届きませんし」
「あたし達が食べているあのコンビニエンスストアの食料はなぜ尽きないのか。更に遡って、この街の住人たちは何処へ消えてしまったのか・・・・それもたった一夜で。なぜだか分かる?」
「・・・・そんなの私が知るわけないでしょ」

祐子はむべもなく言い放つ。
香里はその返事を聞いて一息入れると、再び話し始めた。

「日常生活に不都合がないという点を除けば・・・・いえ、日常生活に不都合をなくす為にこの世界は実にいい加減に、それこそ言語道断といって良いほどでたらめにできているわ。こんな世界は物理的にありない・・・・もしありうるとすればそれは・・・・」
「夢の中・・・・ね」

祐子の言葉を聞いて、驚いたような顔を見せる香里。
秋子さんの方は相変わらずだが。

「気付いていたの?」
「なんとなくうっすらとだけど・・・・いくらなんでも、この世界が非常識だって事は私も含めてみんな気付いてるわ。ただ、確証も無いしあまりにも安易過ぎる答えだから口に出さなかっただけよ」

北川だけは気付いてないかも知れないが。

「そこまで分かってて! じゃあ何で何も行動を起こさずにただずっと遊んでたの?!」

香里は声を荒げて祐子に詰め寄った。
有無を言わせぬ迫力。
しかし、祐子も黙ってはいない。

「とりあえず遊んでるしかないでしょ! 誰の夢かも分からないんだから!」
「何、分かってなかったの・・・・?」

香里は祐子から離れると呆れた表情をする。

「何よ、そんなあからさまに呆れなくても良いでしょ・・・・それとも香里は分かってるの?」
「えぇ、分かってるわよ」

あっさりと答える香里。
あまりにあっさり答えが返ってきたので、祐子は思わず呆然としてしまった。

「ま、私もきっかけが無かったら分からなかったんだけどね・・・・」

そう言うと香里は自分の座布団の上に座りなおす。

「まず消去法で一人づつ消していくわね? まず川澄先輩と真琴ちゃんだけど・・・・この二人は石像にされてしまっているから除外するわ。そしてこの世界を抜け出す事を臨んでいるあたしと秋子さんも除き・・・・川澄先輩が居なくなった事で悲しみに打ちひしがれている倉田先輩も除くわ」

香里が紙に書いた名前を一人ずつ消していく消していく。

「それから相沢さんも除くわ。もし相沢さんの望む夢なら女の姿のままじゃなく男に戻ってるでしょうし」
「まぁ、それは言えてるわね」

大きく頷く祐子。

「それで残ったのが名雪、栞、天野、あゆちゃんの4人なんだけど・・・・この4人の中から特定出来る要素は何一つないわ」
「・・・・それじゃあ、分からないじゃないの」
「話は最後まで聞きなさい。私はずっと、水道が供給されているのが本当に水瀬家だけなのかを調べていたのよ」
「それで?」
「案の定、水瀬家以外の水道は全て使えなかったわ。でもある日、そこへあゆちゃんと真琴ちゃんがやってきて・・・・」
「・・・・蛇口を捻ったら水が出たのね?」
「そうよ・・・・念の為、あゆちゃん達が行った後もう一度蛇口を捻ってみたけどやっぱり水は出なかった。そこで確信したわ、この夢はあゆちゃんか真琴ちゃんのものだと・・・・」
「それで真琴は消えてしまったから、あゆの夢に決定ってわけね・・・・」
「そう言う事」

そこまで話して、香里はフゥと一息ついた。
湯飲みに注がれたお茶を口に含み、喋り過ぎて乾いた口を潤す。

「でも・・・・それだけじゃ説明つかないんじゃない?」
「え?」

祐子の言葉に香里は思わず聞き返す。

「確かにこれはあゆの夢かも知れない・・・・でもいくらなんでも、あゆにこんな世界作れると思う?」
「それは・・・・確かにそうだけど・・・・」
「祐子さんの言うとおりですね・・・・乙姫があゆちゃんであったにしても、竜宮城へ人を誘うのはあくまでも亀です。あゆちゃんの願望を実現するべくこの世界を作り出した第三者の存在があるはずです」
「さすが秋子さん、私の言いたいことをよく解ってらっしゃる・・・・」
「何を関心しているんですか? あなたの事を言っているんですよ」

そう言って、秋子さんは祐子の方を見据える。

「え?それって一体どう言う・・・・」
「ですから、あなたが亀だと言っているんですよ」
「・・・・それじゃ、私がこの世界を作ったって言うんですか?」
「その通りです」
「秋子さん・・・・冗談は止めましょうよ。一介の高校生にそんな真似出来るわけないじゃないですか」
「一介の高校生ならそこに居ますよ? さ、もう出てきても良いですよ」
「え?!」

秋子さんにそう言われて出てきたのは・・・・紛れもなく祐子だった・・・・・。




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