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過去の遺作置き場
2024年04月20日 (Sat)
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2002年09月18日 (Wed)
7月29日 その4



「あう~、海~~!!」
「あ、真琴! ちゃんと準備運動しないと駄目ですよ!」
「うぐぅ、しょっぱいよぅ・・・」
「あゆちゃん、海なんだから当たり前だよ・・・」
「栞。あなたいくら泳げないからって、その浮き輪は子供っぽくない?」
「えぅ~、そんな事言うお姉ちゃん嫌いです! それに、元々これ持ってこさせたのお姉ちゃんじゃないですか!!」
「あははー。舞、サンオイル塗って一緒に焼きましょう~」
「はちみつくまさん」
「北川さん、本当にあやめさん置いてきて良かったの?」
「そうは言っても、あやめさんが恥ずかしがるんだからしょうがないだろ」
「やっぱり、大正時代の人にその水着は刺激が強いんじゃないですか、南?」



浜辺へやってきて、それぞれ好き勝手な事を始める面々。
ちなみに分かりにくい人の為に説明すると、今のセリフは上から順に真琴、美汐、あゆ、名雪、香里、栞、佐祐理さん、舞、南、北川君、つむぎちゃんよ。

・・・私、誰に説明してるんだろ?

「ねぇ、祐子」

私が遠巻きに皆を眺めていると、香里が声をかけてきた。
ちなみに、香里は紺色のビキニ姿。
流石香里、大人っぽいわね。

「何、香里?」
「実は、この前の雪辱戦がしたいんだけど」
「はぁ?」

私はまったく訳が分からないと言う顔をする。
雪辱戦って・・・何のよ。
前に何か勝負とかしたっけ?

「覚えてない? ほら夏休み前にプールで・・・」
「・・・あぁ!」

思い出した。
あの時、名雪と一緒に競争したやつね。
結局、邪魔な障害物のせいで香里が負けたんだけど。

「香里、まだ納得してないの?」
「当たり前でしょ。私の前にだけ人が集まってたなんてどう考えてもおかしいじゃない」

まぁ・・・確かに、あれは名雪が仕組んだものだったし、納得行かないのも頷けるけど。

「じゃあ、また競争するの?」
「そうね。あそこに小さな岩が見えるでしょ? あそこをぐるっと周って早く戻って来た人が勝ち。どう?」
「まぁ・・・良いけど」

別に断る理由もない。
それに、今回は結構距離があるから体力勝負になりそうだし。
こう言う場合は、小細工なんかなくても私達の方が有利よね。

「それで、前みたいに負けた人は何かするわけ?」
「いいえ、違うわ。勝った人が誰か好きな人を1日自由に出来るって言うのでどう?」

好きな人を自由にって・・・ありがちねぇ。
まぁ、良いけど。

「分かったわ。それじゃ、名雪を呼んで「ちょっと待ったぁ!です!!」来ましょうって、え?」

突然言葉を遮られ、何事かと思うと、さっきまで各々で勝手に遊んでいた皆がいつの間にか私の周りに集まっていた。

「話はしっかり聞かせてもらいました! お姉ちゃんだけずるいですよ、良い思いしようなんて!!」
「べ、別にそう言うわけじゃ・・・」

あのねぇ、栞。
まだ香里が勝ったって決まったわけじゃないのよ?

「あう~、抜け駆けは許さないわよ!」
「そんな酷な事はないでしょう」
「あはは~、そう言うわけですから佐祐理達も参加しますよ~。ねっ? 舞」
「・・・絶対勝つ」

な、何か収集つかなくなってきた気が・・・。

「どうするの香里?」
「どうするって・・・こうなった以上、全員参加にするしかないでしょ。それに例え人数が増えても勝てば問題ないわ」

そう言って、栞とは違い充分に張りのある胸を張って自信満々にそう言う香里。
一体、どこからこの自信は来るのかしら?

「・・・何故でしょう? 今、ムカッと来ました」

・・・中々鋭いわね、栞。



「それじゃ、とりあえず北川君達を除く全員参加で・・・」
「ちょっと待て! 何で俺だけ除くんだ?!」
「当たり前でしょ。北川君にはあやめさん達が居るんだから、こんな事する必要ないじゃない」
「ぐ・・・それは・・・」

何も言い返せない北川君。
今この場に、南とつむぎちゃんが居なかったらもっと言い返してきたでしょうけど。
相変わらず、猫被ってるのね。

「じゃあ、そう言うわけだから。北川君は倉田先輩のクルーザーで泳ぐ私達を追いかけて、もしもの時の為に待機しててちょうだい」
「・・・分かった」

それだけ言うと、北川君はさも残念そうに近くに止めてある佐祐理さん所有のクルーザーへと向かって行った。
・・・今、思ったんだけど誰が運転するんだろ?
まさか北川君に運転させる気じゃ・・・まさかね。


「さ、それじゃあみんな位置について」

そう言って、香里が号令をかける。
私達は、波打ち際に全員横一列に並んで、いつでもスタート出来るように身構えた。

「よーい、ドン!」

その声を合図に、私達の『1日、好きな人を自由に出来る権利争奪遠泳大会』が始まった。



・・・・・・・長っ。



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