過去の遺作置き場
8月11日
Trrrrrr・・・。
Trrrrrr・・・。
電話だわ。
ま、そのうち誰か出るでしょう・・・。
Trrrrrr・・・。
Trrrrrr・・・。
電話だわ。
ま、そのうち誰か出るでしょう・・・。
Trrrrrr・・・。
Trrrrrr・・・。
変ね・・・何で誰も出ない・・・!?
そ、そう言えば今誰も居ないんだった!
肝心な事に気付いた私は、大慌てで部屋を出て階段を下りた。
超特急で電話の前まで来ると、素早く受話器を取る。
「もしもし、水瀬です」
「あ、もしもし! 朝霧ですけど・・・!!」
突然受話器の向こうから切羽詰ったような声が聞こえてくる。
今、朝霧って言ったわね・・・そうすると南かしら?
「すいません、相沢さんはいらっしゃいますか!?」
「私だけど・・・どうしたのよ、南。そんなに慌てて」
「あ、相沢さん?! 良かった・・・お願いです、すぐ北川さんの家まで来てください!」
「え? 北川君の家に?」
・・・何かあったのかしら?
「詳しい事はこちらに来てから説明しますから!」
「え、あ、ちょっと南!」
ガチャン。
私が理由を聞き返す間も無く、南は電話を切ってしまった。
もう、何だって言うのよ・・・。
私は受話器を置くと、自分の部屋へと戻る。
このまま行かないでおいても良いんだけど・・・でも、南のあの様子は気になるわね。
しょうがないわね、行きましょ。
私は外出着に着替えると、家を後にした。
家から歩いてしばらくして・・・北川君の家が見えてきた。
相変わらず、家中の窓には昼間からカーテンが引きっぱなしになっている。
あやめさんの事を考えると仕方の無い事とは言え・・・はたから見ると、ちょっと変よねぇ・・・。
「あ、相沢さん!」
そんな事を考えていたら、玄関前に居た南に呼びかけられた。
ずっと外で待ってたのかしら。
「南、言われた通りに来て上げたけど・・・一体、どうしたの?」
私は話しかけながら、南の方へと向かう。
どうやら南は、ずっと外で待っていたらしくて汗びっしょり。
別に中で待ってれば良いのに・・・。
「それが・・・実は今日、デート中に北川さんが突然倒れちゃって・・・」
「何ですって!?」
デート中(ここで言うデートとは、北川君とあやめさんが憑依した南の事ね)に北川君が倒れた・・・?
前々から調子悪そうだったけど・・・とうとう限界がきたのかしら。
それにしても・・・。
「南。確か北川君、昨日は家でゆっくり休んでたはずよね?」
「え、えぇ・・・そうだと思いますけど・・・」
「それなのに、倒れたの?」
「・・・はい」
北川君、もしかして昨日休んでなかったんじゃ・・・。
無理してあやめさんの相手してたとか・・・ありうるわね。
「とにかく中に入って様子を見に行きましょ」
「あ、はい」
そう言って、私は南を連れて家の中へと入った。
「あ、祐子さん・・・こんにちは」
家に入ったところで、あやめさんに出会った。
手には水の入った洗面器とタオルを持っている。
どうやら、さっきまで看病してたみたいね。
「こんにちは、あやめさん。北川君はどう?」
「今は寝てらっしゃいます・・・大分落ち着いたようですし」
「そう、様子見に行っても大丈夫?」
「はい。どうぞ」
私はあやめさんに手を振ると、南と一緒に北川君の部屋へと赴いた。
コンコン。
入る前に一応礼儀としてドアを叩いておく。
・・・返事はないわね。
寝てるのかしら?
私は、ドアノブを回して部屋へと入った。
「北川さん・・・」
ベッドの上で眠る北川君を見て南が呟いた。
「寝てるみたいね・・・起こすのも悪いし、今はそっとしておきましょう」
「そうですね・・・」
私達はそのまま向きを変え、部屋を後にした。
リビング。
南と一緒にソファに腰を下ろし、あやめさんの淹れてくれたお茶を飲む。
ふぅ・・・やっぱり、あやめさんのお茶はおいしいわ。
「北川さん・・・どうしたんでしょうね、一体・・・」
ふと、南がそんな事を呟く。
そうね・・・よく考えると、そんな倒れるほど疲れるような事は何もしてないはずだし・・・。
どうして急に倒れたりなんか・・・。
・・・・・・。
「考えても仕方ないか・・・」
「相沢さん?」
「とりあえず今日は帰るわ。このままここで考え込んでても仕方ないし」
「私はもうしばらくここ居ます」
「そう。じゃあお先にね。あやめさん、それじゃ・・・」
「あ、祐子さん。玄関までお見送りしますわ」
そう言ってあやめさんが立ち上がり、私の後についてくる。
「そんな、良いわよわざわざ・・・」
「いえ、潤様があんな状態ですから、私(わたくし) がしっかりしませんと」
そう言いながら、結局あやめさんは玄関まで見送りに来てしまった。
日の光に弱いからあんまり玄関まで来させたくなかったんだけどな・・・。
「じゃ、明日また様子見にくるね」
「はい、お待ちしております」
そう言って、あやめさんは微笑んだ。
その時、私は妙な違和感を覚えた。
あやめさん・・・いつものあやめさんのはずだけど、どこか・・・。
私の気のせい・・・?
「・・・祐子さん?」
「あ、うぅん何でもないの。じゃあ、またね」
「あ、はい・・・」
私は思考を中断させると、足早に北川君の家を後にした。
それにしてもこの違和感・・・一体、何・・・?
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Trrrrrr・・・。
変ね・・・何で誰も出ない・・・!?
そ、そう言えば今誰も居ないんだった!
肝心な事に気付いた私は、大慌てで部屋を出て階段を下りた。
超特急で電話の前まで来ると、素早く受話器を取る。
「もしもし、水瀬です」
「あ、もしもし! 朝霧ですけど・・・!!」
突然受話器の向こうから切羽詰ったような声が聞こえてくる。
今、朝霧って言ったわね・・・そうすると南かしら?
「すいません、相沢さんはいらっしゃいますか!?」
「私だけど・・・どうしたのよ、南。そんなに慌てて」
「あ、相沢さん?! 良かった・・・お願いです、すぐ北川さんの家まで来てください!」
「え? 北川君の家に?」
・・・何かあったのかしら?
「詳しい事はこちらに来てから説明しますから!」
「え、あ、ちょっと南!」
ガチャン。
私が理由を聞き返す間も無く、南は電話を切ってしまった。
もう、何だって言うのよ・・・。
私は受話器を置くと、自分の部屋へと戻る。
このまま行かないでおいても良いんだけど・・・でも、南のあの様子は気になるわね。
しょうがないわね、行きましょ。
私は外出着に着替えると、家を後にした。
家から歩いてしばらくして・・・北川君の家が見えてきた。
相変わらず、家中の窓には昼間からカーテンが引きっぱなしになっている。
あやめさんの事を考えると仕方の無い事とは言え・・・はたから見ると、ちょっと変よねぇ・・・。
「あ、相沢さん!」
そんな事を考えていたら、玄関前に居た南に呼びかけられた。
ずっと外で待ってたのかしら。
「南、言われた通りに来て上げたけど・・・一体、どうしたの?」
私は話しかけながら、南の方へと向かう。
どうやら南は、ずっと外で待っていたらしくて汗びっしょり。
別に中で待ってれば良いのに・・・。
「それが・・・実は今日、デート中に北川さんが突然倒れちゃって・・・」
「何ですって!?」
デート中(ここで言うデートとは、北川君とあやめさんが憑依した南の事ね)に北川君が倒れた・・・?
前々から調子悪そうだったけど・・・とうとう限界がきたのかしら。
それにしても・・・。
「南。確か北川君、昨日は家でゆっくり休んでたはずよね?」
「え、えぇ・・・そうだと思いますけど・・・」
「それなのに、倒れたの?」
「・・・はい」
北川君、もしかして昨日休んでなかったんじゃ・・・。
無理してあやめさんの相手してたとか・・・ありうるわね。
「とにかく中に入って様子を見に行きましょ」
「あ、はい」
そう言って、私は南を連れて家の中へと入った。
「あ、祐子さん・・・こんにちは」
家に入ったところで、あやめさんに出会った。
手には水の入った洗面器とタオルを持っている。
どうやら、さっきまで看病してたみたいね。
「こんにちは、あやめさん。北川君はどう?」
「今は寝てらっしゃいます・・・大分落ち着いたようですし」
「そう、様子見に行っても大丈夫?」
「はい。どうぞ」
私はあやめさんに手を振ると、南と一緒に北川君の部屋へと赴いた。
コンコン。
入る前に一応礼儀としてドアを叩いておく。
・・・返事はないわね。
寝てるのかしら?
私は、ドアノブを回して部屋へと入った。
「北川さん・・・」
ベッドの上で眠る北川君を見て南が呟いた。
「寝てるみたいね・・・起こすのも悪いし、今はそっとしておきましょう」
「そうですね・・・」
私達はそのまま向きを変え、部屋を後にした。
リビング。
南と一緒にソファに腰を下ろし、あやめさんの淹れてくれたお茶を飲む。
ふぅ・・・やっぱり、あやめさんのお茶はおいしいわ。
「北川さん・・・どうしたんでしょうね、一体・・・」
ふと、南がそんな事を呟く。
そうね・・・よく考えると、そんな倒れるほど疲れるような事は何もしてないはずだし・・・。
どうして急に倒れたりなんか・・・。
・・・・・・。
「考えても仕方ないか・・・」
「相沢さん?」
「とりあえず今日は帰るわ。このままここで考え込んでても仕方ないし」
「私はもうしばらくここ居ます」
「そう。じゃあお先にね。あやめさん、それじゃ・・・」
「あ、祐子さん。玄関までお見送りしますわ」
そう言ってあやめさんが立ち上がり、私の後についてくる。
「そんな、良いわよわざわざ・・・」
「いえ、潤様があんな状態ですから、私(わたくし) がしっかりしませんと」
そう言いながら、結局あやめさんは玄関まで見送りに来てしまった。
日の光に弱いからあんまり玄関まで来させたくなかったんだけどな・・・。
「じゃ、明日また様子見にくるね」
「はい、お待ちしております」
そう言って、あやめさんは微笑んだ。
その時、私は妙な違和感を覚えた。
あやめさん・・・いつものあやめさんのはずだけど、どこか・・・。
私の気のせい・・・?
「・・・祐子さん?」
「あ、うぅん何でもないの。じゃあ、またね」
「あ、はい・・・」
私は思考を中断させると、足早に北川君の家を後にした。
それにしてもこの違和感・・・一体、何・・・?
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