過去の遺作置き場
「・・・・と言うわけよ。あたしも最初秋子さんから話を聞いた時は容易には信じられなかったけど・・・・」
香里が何やら深刻な顔で話している。
俺たちは、それを真剣な顔で聞いていた。
「お・・・・そろそろ、焼けるかな・・・・」
・・・・只一人を除いては。
香里が何やら深刻な顔で話している。
俺たちは、それを真剣な顔で聞いていた。
「お・・・・そろそろ、焼けるかな・・・・」
・・・・只一人を除いては。
現在、俺たちはお好み焼き屋『じぱんぐ』に来ている。
まだ学園祭の準備は途中なのだが、秋子さんと香里に誘われたから来たのだが・・・・。
そこで香里が話し始めた内容は、皆にとって衝撃的な事だった。
ただ、割と前から時間の概念に疑問を持っていた俺は意外と冷静に聞いていた。
「でも確かに最近のあたし達の周りではおかしな事が多すぎるわ。昨日の夜の事といい、今朝の戦車の事といい、ね」
「う~ん・・・・もうちょっとか・・・・」
「ここに至っては疑問の余地はないわ。そこであたし達の手で事実を突き止める為に真相究明委員会を結成して「ぐあ!焦がしちまった!!」って、北川君聞いてるの?」
「え?」
さっきから香里が熱弁を奮っている間、俺たちが真面目に聞いているのに対し、北川は只一人さっきからずっとこんな調子だ。
「も、もちろん聞いてたさ!」
「それじゃあ、言ってみせてよ」
「う・・・・」
香里の一言に言葉が詰まる北川。
バカだな・・・・。
「え、え~と・・・つまりだな、時間と空間が無茶苦茶になってるんじゃないかって言うんだろ?」
何だ、ちゃんと聞いてるんじゃないか。
「・・・・そうよ」
香里も少し驚いているようだ。
まぁ、どう考えても話を聞いてたようには見えなかったから仕方ないがな。
「それで・・・・どうするんだっけ?」
・・・・前言撤回。
「はぁ・・・・」
香里も思わず溜息だ。
「とにかく、このまま指を咥えて見ていても事態は進展しないわ。それで皆でこの後、学校の方を調べに行きたいのよ」
「それは良いけど・・・・まだ、学校には他の生徒が残ってるんじゃない?」
それは素朴な疑問を香里にぶつける。
いつものように、学校に生徒達が泊り込んでたら調べようがないと思うのだが・・・・。
「その辺は抜かりないわ。ここへ来る前に秋子さんが昨日と同じように皆を帰宅させたから」
「そうなんですか、秋子さん?」
俺はそう言って秋子さんの方を振り向く。
「えぇ。石橋先生が居なくなってしまったので、私一人で全員を帰宅させるのは大変でしたけど」
そう言いながらニコニコ笑っている秋子さん。
そんなに大変そうだったようには見えないんですけど・・・・。
「さ、分かったら学校へ向かうわよ!」
「あ、香里ちょっと待って。もうすぐミックス焼きそばが来るからそれ食べてから・・・・」
「あのね、名雪・・・・」
すでに学校へ向かう前から前途多難だった。
夜の誰も居ない静かな学校。
やはり何処と無く不気味だ。
俺たちは佐祐理さんの車で、学校に来た。
ちなみに、何故か運転は秋子さんだ。
秋子さんの運転は中々ワイルドで・・・・いや、何も言うまい。
「さ、着いたわ」
車から降りながら香里が言った。
「今までの成り行きからすると、全てはこの学校にその端を発しているわ。人智の及ばぬ超常現象か、何者かの陰謀か・・・・いずれにしても、人気の絶えた夜の内に調べれば何かがあるはずよ」
香里はそう言いながら、学校を見上げている。
「それじゃ乗り込むわよ!」
「くー」
・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「どうするの、香里?」
「・・・・万が一の事を考えて名雪と秋子さんはここで待機、他の皆はついて来て・・・・」
香里は頭を抱えながら、校舎の方に向かって歩き出した。
やれやれだな・・・・。
あ、そう言えば・・・・。
「佐祐理さん、ちょっと」
「はぇ?何ですか、祐子さん」
俺は聞きたい事があり、佐祐理さんを呼び止めた。
「佐祐理さん・・・・さっき秋子さんが車の運転してたけど、運転手はどうしたの?」
「あ~、それが・・・・実は今朝から行方不明なんですよ~」
「行方不明?」
「はい。何処へ行ってしまったんでしょう?」
「いや、私に聞かれても困るんだけど・・・・」
それにしても、運転手が行方不明?
・・・・ふ~む。もしかしたら学校なんかより、もっと身近な所を調べた方が良いんじゃなかろうか・・・・。
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