過去の遺作置き場
6月18日
放課後、たまたま行った屋上で北川を見つけた。
フェンスにもたれて夕日を見つめながら、どこかたそがれている。
「北川・・・・どうしたの?」
「ん?あぁ、相沢か」
北川を顔だけこちらに向けるとそう言った。
「日曜日に、南と一緒にあやめさんを連れて霊能者の所に行ったんでしょう? 何か分かったの?」
「・・・・・・・・・」
しかし、北川は何も答えない。
ただ黙って夕日で赤く染まる空を見つめている。
・・・・何というか、北川らしくないな。
放課後、たまたま行った屋上で北川を見つけた。
フェンスにもたれて夕日を見つめながら、どこかたそがれている。
「北川・・・・どうしたの?」
「ん?あぁ、相沢か」
北川を顔だけこちらに向けるとそう言った。
「日曜日に、南と一緒にあやめさんを連れて霊能者の所に行ったんでしょう? 何か分かったの?」
「・・・・・・・・・」
しかし、北川は何も答えない。
ただ黙って夕日で赤く染まる空を見つめている。
・・・・何というか、北川らしくないな。
「あやめさん・・・・さ」
不意に北川が口を開いた。
「お盆過ぎ・・・・もっても命日ぐらいまでだろうって言われたんだ」
「どう言う事?」
「もう随分長いこと幽霊になってたから、いつ消えてもおかしくないらしいんだ。今までもった方が不思議だって言われたよ・・・・」
そうか・・・・それで、北川の奴こんなに深刻な顔してたんだな。
「ところで、命日って?」
「確か9月1日だよ。あやめさん、震災で亡くなったって聞いてたからな」
それだと、2ヶ月ちょっとか・・・・。
長いようで・・・・短い、よな。
「それまでに何とか成仏してくれれば・・・・」
深刻な面持ちで北川がそう呟く。
「ちょっと待って、消えるのと成仏するのとどう違うわけ?」
成仏も消えるのもどっちにしろ居なくなるのには違いないんじゃないのか?
「いや、それが違うんだ。もし成仏する事が出来れば魂の輪廻とか言うので、来世生まれ変われるらしいんだけど・・・・」
生まれ変わる・・・・。
「消滅しちまうと、存在が『無く』なっちまう。あやめさんはもう二度とどこにも居なくってしまうんだ」
「そう・・・・なの」
俺は俯いてそう呟いた。
「とりあえず、当面の問題はどにかしてあやめさんに成仏してもらう事だ」
「でもどうやって?」
「この世に未練を無くす事・・・・そして自分は死んだんだからここに居てはいけないと言う事を自覚させれば良いらしい」
「・・・・でもこの前の様子を見た限りだと、あやめさんって幽霊の自覚無さ過ぎるんじゃない?」
「そこが問題なんだよ。とにかくその事は後回しにして、あやめさんの未練は俺自身だってのは分かってるから、とりあえずデートするなりなんなりして、未練だけでも無くしてやろうと思ってるんだが」
「・・・・幽霊とどうやってデートするって言うのよ」
確か南から聞いた話だと、あやめさんは日の光に弱いらしい。
夜なら問題ないだろうが、夜だけデートしてても・・・・。
「その辺は問題ない。あやめさんが朝霧に乗り移れるってのは分かったからな。とりあえず朝霧に乗り移ってもらってデートする事になった」
「それ、北川が提案したの?」
「いや。朝霧が自分で言ったんだけど」
うーむ、南のやつ身を切るような発言だ。
いくら乗り移られている間は自分の意識がほとんど無いとは言え・・・・北川と一緒の所を他のやつ見られたりしても何とも思わないのだろうか?
「それで南は?」
「特訓中」
「は?」
「だから、あやめさんが乗り移ったときに追い出してしまわないように特訓だってさ」
特訓?・・・・体育会系気質か?
確か、合気道部だって言ってたな・・・・こりゃ、主将のあいつに大分影響されてるな・・・・。
「ま、とにかくそう言うわけだから今は朝霧の特訓待ちだ」
「ふ~ん・・・・でも、これで何とかなりそうね」
「だと良いけどな・・・・」
それだけ言うと北川は黙ってしまった。
再びフェンスに体を預けると、最初に見たときと同じように夕日を見つめてたそがれる。
俺もそれ以上を声をかける事はせず、その場を後にした。
成仏か・・・・出来ると良いけどな。
不意に北川が口を開いた。
「お盆過ぎ・・・・もっても命日ぐらいまでだろうって言われたんだ」
「どう言う事?」
「もう随分長いこと幽霊になってたから、いつ消えてもおかしくないらしいんだ。今までもった方が不思議だって言われたよ・・・・」
そうか・・・・それで、北川の奴こんなに深刻な顔してたんだな。
「ところで、命日って?」
「確か9月1日だよ。あやめさん、震災で亡くなったって聞いてたからな」
それだと、2ヶ月ちょっとか・・・・。
長いようで・・・・短い、よな。
「それまでに何とか成仏してくれれば・・・・」
深刻な面持ちで北川がそう呟く。
「ちょっと待って、消えるのと成仏するのとどう違うわけ?」
成仏も消えるのもどっちにしろ居なくなるのには違いないんじゃないのか?
「いや、それが違うんだ。もし成仏する事が出来れば魂の輪廻とか言うので、来世生まれ変われるらしいんだけど・・・・」
生まれ変わる・・・・。
「消滅しちまうと、存在が『無く』なっちまう。あやめさんはもう二度とどこにも居なくってしまうんだ」
「そう・・・・なの」
俺は俯いてそう呟いた。
「とりあえず、当面の問題はどにかしてあやめさんに成仏してもらう事だ」
「でもどうやって?」
「この世に未練を無くす事・・・・そして自分は死んだんだからここに居てはいけないと言う事を自覚させれば良いらしい」
「・・・・でもこの前の様子を見た限りだと、あやめさんって幽霊の自覚無さ過ぎるんじゃない?」
「そこが問題なんだよ。とにかくその事は後回しにして、あやめさんの未練は俺自身だってのは分かってるから、とりあえずデートするなりなんなりして、未練だけでも無くしてやろうと思ってるんだが」
「・・・・幽霊とどうやってデートするって言うのよ」
確か南から聞いた話だと、あやめさんは日の光に弱いらしい。
夜なら問題ないだろうが、夜だけデートしてても・・・・。
「その辺は問題ない。あやめさんが朝霧に乗り移れるってのは分かったからな。とりあえず朝霧に乗り移ってもらってデートする事になった」
「それ、北川が提案したの?」
「いや。朝霧が自分で言ったんだけど」
うーむ、南のやつ身を切るような発言だ。
いくら乗り移られている間は自分の意識がほとんど無いとは言え・・・・北川と一緒の所を他のやつ見られたりしても何とも思わないのだろうか?
「それで南は?」
「特訓中」
「は?」
「だから、あやめさんが乗り移ったときに追い出してしまわないように特訓だってさ」
特訓?・・・・体育会系気質か?
確か、合気道部だって言ってたな・・・・こりゃ、主将のあいつに大分影響されてるな・・・・。
「ま、とにかくそう言うわけだから今は朝霧の特訓待ちだ」
「ふ~ん・・・・でも、これで何とかなりそうね」
「だと良いけどな・・・・」
それだけ言うと北川は黙ってしまった。
再びフェンスに体を預けると、最初に見たときと同じように夕日を見つめてたそがれる。
俺もそれ以上を声をかける事はせず、その場を後にした。
成仏か・・・・出来ると良いけどな。
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