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過去の遺作置き場
2017年12月13日 (Wed)
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2002年06月23日 (Sun)
「嫌だ!俺は絶対やらんぞ!!」
「祐一、往生際が悪いよ」
「そうよ、他のみんなはもう着替えてるのよ?北川君なんかもうすっかり乗り気なのに」
「あんな奴と一緒にするなっ!とにかく嫌なもんは嫌なんだ!!」
「しょうがないわね・・・それじゃ、実力行使といきましょうか。名雪?」
「うん、分かったよ香里」
「きゃー!いやー!やめて!お婿に行けなくなっちゃう!!」
「気色悪い事言わないでよ!ほら、おとなしく着替えなさい!」
「誰か助けてくれー!!」



「・・・諦めろ、相沢」

そんな北川の声が聞こえたような気がした。







今日は文化祭。
何か文化祭の時期にしては少し暑いような気がするが・・・気のせいだろう。
まぁそれは置いといて、、うちのクラスは喫茶店をやるわけなのだが・・・。





「ちょっと待て!女装喫茶だなんて聞いてないぞ?!」
「当然でしょ?相沢くん、HRの間ずっと寝てたんだから」

う・・・まぁ、それはそうなんだが。
だからと言って何で女装喫茶なんだ!

「最初は普通の喫茶店で落ち着くはずだったんだけどね。一部の女子からそれだけじゃ面白くないって抗議が出たから」

・・・それってお前の事じゃないのか、香里。
男子から抗議は出なかったのか?

「抗議どころか、みんな最初から乗り気だったわよ?」

・・・・・お前ら。

「いや~、たまにはこんなのも良いかなと思って・・・」

北川・・・・お前、そう言う趣味があったのか・・・・。

「って、おれさっきから喋ってないはずなんだけど」
「全部声に出てたわよ」
「そ、そうか」

う~む・・・この癖、直さんといかんな・・・。
いや、そんな事はどうでも良い。
今は目の前の問題だ!

「とにかく、俺は嫌だぞ!」
「今更一人だけ反対しても駄目よ。もう準備の方もそれでやってるんだから」
「い、嫌だ・・・女装なんて嫌だ~!!」






と言う訳で現在に至る。

頑なに女装を拒んでいた俺だが、結局香里と名雪に引ん剥かれて無理矢理着替えさせられてしまった・・・・。
しかもあろう事か、鬘を被せられて化粧までされ、挙句の果てに胸にパットを入れたブラジャーまでさせられる始末。

うぅ・・・俺もう、お婿に行けない・・・。

「相沢くん、しつこいわよ?それより、もうすぐ開店なんだからいつまでもここに居ないで、お店の方に出てよね」

そんな事言われても、俺は北川みたいにまだ覚悟ができてない。
こんな格好他の奴らに見られてバカにされたりなんかしたら、俺もう二度と立ち直れんぞ。

「あぁもう!良いからとっとと行きなさい!!」

そう言って香里は、まだブツブツやってた俺を蹴り出した。
香里・・・そんなに凶暴だと、嫁の貰い手が無くなるぞ?

「何か言った?」
「いえ、何も言ってないです、はい!」

こ、怖い・・・・。
しょうがない、出るか・・・・。




厨房から店の方に出て、まず驚いたのがその客数。
こんな女装喫茶なんて気味悪い所に来る奴なんてほとんど居ないと思ってたのだが・・・。
かなりの盛況だった。
しかも、女子も結構入っている。
そんなお客達に愛想を振りまく不気味なウェイトレス(ウェイター?)達。
・・・・みんな気分悪くならないのか?



「あら、ようやく来たのね相沢さん」

そう言って、俺の肩を叩き声をかけてきたのは・・・。

「北川・・・いくら女装してるからって、女言葉はヤメロ。気持ち悪い」
「あら、何言ってるのよ。女装したら女言葉は基本よ」

・・・・・頭痛くなってきた。

ちなみに、北川はセミロングの鬘にカチューシャをつけ、フリフリのウェイトレスのコスチュームを着ている。
スカートから覗いている足は、ちゃんと無駄毛処理をしてあり綺麗なもんだが・・・・いかんせん、ちょっと筋肉質でいかにも男の足と言った感じなので、見ていて気分が悪くなってくる。
北川は見た目は悪くないので、上半身だけを見てる分にはそれほど感じないんだがな。
・・・・って、俺は何を言っている?



「ところで、さすが相沢さんね」
「・・・・何が?」

どうにか北川の女言葉にも慣れてきた俺は、何とか正気を保ちつつ北川に聞き返した。

「だってどうみてもこのウェイトレスの中で、一番可愛く女装出来てるんだもの」
「ぶっ!いきなり何を!?」
「あら本当の事よ。何なら鏡見てみる?」

そう言って、北川は何処からとも無くサッと鏡を取り出す。
・・・どこから出した?

「ほらほら、見て」

北川に促されて、渡された手鏡を覗き込む。
そこには、長いストレートの髪の綺麗な女の子が居た。
施された化粧は濃くなく薄くなく絶妙なバランスで、それが更に綺麗に見せている。
はっきり言って、たっぷり5分ほど見とれてしまった。

「これ、本当に俺か・・・・?」
「そうよ、鏡なんだから当たり前じゃない」

むぅ・・・・俺ってこんなに可愛かったのか・・・・。

「さ、自信も持てた所で仕事に移りましょう」
「ちょっと待て!俺はまだ・・・・」
「違うでしょ!良い?あなたは今女の子なんだから『俺』じゃなくて『わ・た・し』!」
「べ、別にそこまで徹底せんでも・・・・」
「相沢さん?」
「・・・・・分かりました。私は今女の子です」

北川の有無を言わさぬ迫力に負け、止むを得ず女言葉で喋る事にする。

「それじゃあ、さっそくだけどウェイトレスお願いね」

そう言うと北川は、自分もウェイトレスの仕事に戻っていった。
え~い、こうなったらヤケだ。
女言葉だろうがウェイトレスだろうがやったるわい。



「すみませ~ん」
「あ、はい。何でしょう?」

客の呼ぶ声が聞こえたので、そのテーブルの方へ向かう。
座っているのは隣のクラスの男共だな。
・・・・・物好きな奴らだ。

「アイスコーヒー2つお願いしたいんすけど」
「アイスコーヒー2つですね。かしこまりました」

伝票にアイスコーヒー2つと書く。
ウェイターのアルバイトをした事があるので、この辺は手馴れたものだ。
・・・・・今はウェイトレスだけどな(泣)

「いや~、それにしてもウェイトレスさん可愛いねー。女装だと分かっててもそう思うよ。名前何てーの?」

え~と・・・・これは、ナンパと言うやつだろうか。
こいつ、俺が男だと分かっててこんな事言ってくるとは・・・。
しかし、名前ったって・・・・。

「お客さん、この子可愛いでしょ?相沢祐美って言うんですよ」
「んな?!」

き、北川!突然現れるな!!
しかも、相沢祐美って何だ?!

「へぇー、相沢かー。中々似合ってるじゃんか」
「し、仕事があるのでこれで失礼しますっ!」

何かこっ恥ずかしくなってきたので、俺はその場を逃げた。
北川、後は頼む。



それから後も、何度かオーダーを受けにあちこち歩き回ったが・・・。
そのたんびに、同じ事を言われ続けた。
男女共から・・・・・。
何故か大人気の俺を、他の女装ウェイトレス達は羨ましそうに見ていた。
はっきり言って、無茶苦茶疲れた・・・・精神的に・・・・。

そんな感じで今年の文化祭は幕を閉じた。
今年の文化祭の事は二度と思い出すまいぞ・・・・。

















数日後。


「う゛~・・・・・」

俺は、机の上に山積みにされた包みやら花束を目の前に一人唸っていた。
それ一つ一つには全てメッセージカードがついており、ただ一言『付き合ってください』とだけ書いてある。

「よぅ、相変わらずモテモテだな、相沢」

声をかけてきたのは北川だ。
確かに普通なら喜ぶところなんだが・・・・。

「全然嬉しくないっ!!」
「何でだよ、こんなに貰っといてさぁ」

北川はニヤニヤしながらそう言ってくる。
この野郎、分かってて・・・・。

「あのなっ!そりゃ女から貰ったんならともかく、これ全部男からだぞ!!」

そう、あの文化祭の女装喫茶の時以来、俺に変なファンがついてしまったのだ。
しかも一人や二人ではなく、約20人ぐらい。

「そりゃあなぁ・・・客に乗せられて、歌歌ったり一緒に写真撮影したりとかしてりゃあなぁ・・・」

う・・・・。
実は白状すると、あの時ずっと女装していたらすっかり気分は女の子になってしまい、客に言われるがままに、色々やってしまったのだ。
さながら、喫茶店と言うよりイベント会場と言うような感じだった。

「諦めて、男と付き合えば?」
「誰が付き合うかっ!!」


「祐一~。これ預かってきたよ。祐一に渡してくれって」

そう言って名雪が持ってきたのは、更なるプレゼントの山。
もう俺の机の周りはプレゼントの包みと花束で溢れかえっている。

「北川・・・・頼む、助けてくれ」
「知らん。時間が経てばその内みんな飽きるだろうから、それまで我慢しろよ」
「そ、そんな・・・」

がっくり項垂れる俺。











結局、一段落したのはそれから半年後の事だった。

うぅ・・・・もう二度と女装なんてせんぞ!!!







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