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過去の遺作置き場
2017年11月19日 (Sun)
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2002年09月26日 (Thu)
8月2日 その3



「ふぅ、ようやく着いたわね」
「えぅ~、怖かったです~・・・」

あれから特に何も問題も起こらず、私達は目的の神社に着いた。
栞は相変わらず私にしがみつく様に寄り添ったまま。
最初の頃の威勢はどこ行ったのかしらね?
まぁ、それは良いとして・・・早く自動販売機見つけておみくじ買っちゃいましょ。

「え~っと、自販機は・・・」

キョロキョロと辺りを見回すけれど、それらしきものは見当たらない。
う~ん、どこにあるのかしら?

「あの、祐子さん・・・」
「ん?」

呼びかけれられて栞の方に振り向くと、何故か栞は凄く不安そうな顔をしていた。
どうかしたのかしら・・・?

「祐子さん・・・ここ、ホントに目的の神社ですか・・・?」
「え? 渡された地図通りに歩いて来たんだから、間違いないでしょ?」
「でも・・・」

そう言って、栞は社の方を見やる。
確かにこの神社・・・古くてぼろぼろで、とてもおみくじの自販機が置いてあるような神社には見えない。
まるで・・・もう何年も使わずに放ったかされているような・・・。

「えぅ~・・・祐子さん、戻りましょう? 何かここ怖いです・・・」

栞が言うのも分かる気がする。
この神社の雰囲気・・・どことなく不気味なのよね。
それに・・・さっきから、ずっと何かに見つめられてるような感覚がある・・・。
見たところ目的の自販機もないみたいだし、戻った方が良いかも知れないわね・・・。

「そうね、栞。戻りましょう」
「はい」

私達はその神社に背を向けると、逃げるようにしてその場を後にした。




あれからどれぐらい歩いたんだろう。
感覚的には、もう元のスタート地点に戻っててもおかしくないはずなんだけど・・・。
全然見えてくる気配がない。
それに・・・空にまったく光が見えないのもおかしい。
確か天気予報で、今日の夜は雲一つなく満点の星空が見れるような事を言ってたはずなのに・・・。
一欠けらの雲で一瞬光が遮られるような事はあっても、こんな完全に暗闇になるはずがない。

「あ、祐子さん! あれ!!」
「何?」

突然栞が声を上げたので、何事かと思って前方を見ると・・・そこには、先程の神社の社が見えていた。

「そんな・・・戻って来ちゃったの?」

私は愕然としながら、その社を眺めた。






それからどれぐらい時間が経ったのだろうか?

私と栞は何度も元の場所に戻ろうとしたけれど、ことごとくこの神社に戻されていた。
一体、どう言うわけ?
まるで、この空間に閉じ込められちゃったみたい・・・。

「ゆ、祐子さん・・・」
「・・・大丈夫よ、栞。だからそんなに怖がらないで」

恐怖で私にしがみつく栞を宥める。
それにしても・・・かなりの時間歩き続けてたから流石に疲れたわね・・・。
・・・あまり気は進まないけど、少しここで休んで行きましょう。
私は栞を連れて、その社の縁に腰を下ろした。
少しでも、震える栞の不安を取り除こうと、頭を軽く撫でながら私は暗闇の空を見げる。
・・・さっき感じたあの視線のようなもの・・・相変わらず、この神社に戻ってくる度に感じる。
多分・・・幽霊か何かなんでしょうけど・・・一体どう言うつもりなのかしらね・・・。

「うぅ・・・ひっく・・・」
「?」

今、何か・・・。

「栞、今何か聞こえた?」
「え? 私は何も・・・」

そう言って栞は首を振る。
う~ん、気のせいだったのかしら?

「ひっく・・・うぅ・・・」
「!?」

やっぱり、気のせいなんかじゃない。
今のはハッキリ聞こえたわ!
私は立ち上がると、その声がどこから聞こえてきたのか確かめようとその場を少し離れる。

「ゆ、祐子さん! 待ってください~!!」

遅れて栞が立ち上がり、さっきのように私にしがみつく。
私は苦笑しながら栞を抱きとめると、さっきの声に集中した。



・・・どうやら、この社の中から聞こえてくるようね。
耳を澄ますと、間違いなくすすり泣くような声は社の中から聞こえてくる。

「栞、ちょっと開けてみるわよ?」
「は、はい・・・」

固唾を呑んで、深刻な面持ちで頷く栞。
私はそれを確認すると、ゆっくりと社の戸を開いた。

ギギィ・・・・。

何年も使ってなかった証拠とも言える、軋んだ音が当たりに響く。
完全に戸を開け切ると、私は中へと足を踏み入れた。





そこに居たのは・・・年端も行かない小さな少女だった。




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