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過去の遺作置き場
2018年08月15日 (Wed)
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2002年09月29日 (Sun)
8月3日



「お祭り?」
「はい♪」

私の問いに佐祐理さんは嬉しそうに頷いた。
何でも、この近くの神社で今日はお祭りがあるそうなの。
それで、せっかくだから皆で行こうって話なんだけど・・・。

「でも佐祐理さん、私達浴衣とか全然・・・」
「あはは~、それだったら心配ないですよ~。佐祐理が用意しておきましたから」
「そうなの?」
「はい。色々な浴衣を用意しておきましたから、好きなものを選べますよ♪」

そう言って微笑む佐祐理さん。
ここまで用意してもらったりしたら、最早断ろうとする者は居ない。
まぁ、最初から皆乗り気だったけどね。

「あの~、倉田先輩。俺のもちゃんとあるんですよね?」
「ふぇ?」

北川君が恐る恐るといった感じで佐祐理さんに聞いた。
そう言えば、北川君だけ男の子だもんね・・・私達と同じって訳にはいかないか。

「え、え~と・・・」

あ、佐祐理さんが戸惑ってる。
もしかして・・・?

「あ、あはは~。ごめんなさい、すっかり忘れてました」
「ぐあ! そんな事だろうと思ったけどさ・・・」

がっくりと項垂れる北川君。
力なく萎れた頭のアンテナが痛々しい。
まぁ、一人だけじゃ忘れるのも仕方ないわよ。

「あたしに良い考えがあるわよ?」
「え? 本当か美坂!」

香里の言葉に、バッと顔を上げる北川君。
う~ん、たかが浴衣1枚でそこまで真剣にならなくても良さそうな気もするんだけど・・・。

「えぇ。とりあえず・・・名雪! 一緒に来てくれる?」
「うん? 分かったよ~」

そう言って、香里、名雪、北川君の3人は隣の部屋へと消えた。
・・・何するつもりかしら?



それから30分ほど。

途中隣から、『マジか?!』とか『きょ、今日はあやめさん達も居るんだから勘弁・・・!』とか『うぅ・・・二人とも無理矢理なんて酷いぞ・・・』とか、良く分からない北川君の叫びが聞こえたんだけど・・・。
な、何してるのかしら?
と、突然隣の部屋の扉が開いて3人が戻って・・・来・・た・・・?

「さ、これで問題ないわ」
「えへへ~、結構可愛く出来たよ♪」
「・・・・・・・(赤)」

そう言う香里と名雪の間に立っているのは、浴衣を着た可愛い女の子。
恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして俯いている・・・って、

「香里・・・もしかして、北川君・・・?」
「そうよ。どうかした?」

ほ、ホントなのね・・・。

「じゅ、潤様・・・なんですか?」

あやめさんが、恐る恐るその浴衣を着た女の子(て言うか北川君)に話しかける。
北川君は、よく見ないと分からないほどに小さく頷いた。

「は~・・・潤様ってお綺麗だったんですねぇ」

・・・意外と取り乱さないわね、あやめさん。
それに比べて・・・。

「あ、あ、あ、あれが北川さん?! う、嘘でしょ~~~!!!???」
「み、南・・・落ち着いて・・・」

これでもかと言うくらいパニくってる南と、それを宥めているつむぎちゃん。
これは落ち着くまで時間かかりそうね・・・。

それにしても・・・。

「香里。何でまた女装なんて・・・」
「あぁ、祐子は記憶が無いから知らないのも無理ないか・・・北川君、学園祭の時にも女装した事あるのよ?」
「えっ、そうなの?!」
「えぇ。しかも自分から率先してノリノリで。こっちが引いちゃうくらいだったわ」

そう言って肩を竦める香里。
何となく北川君を眺めてみる。
改めてみると・・・確かに女性の仕種が妙に上手いような気がする・・・。
ちょっとした動作とか・・・。
もしかして、北川君て元々そう言う趣味があったんじゃないでしょうね・・・。



「さぁ、それじゃあ私達も着替えましょ。いつまでものんびりしてたら、ゆっくり見て回る時間なくなっちゃうわよ」

私の声に全員が頷き、佐祐理さんが用意してくれた浴衣の中から好きな物を選び着替え始める。
ちなみに、北川君にはもちろんご退場願いました。
いくら女装してても、男の子には違いないからね。

「えぅ~、浴衣ってどうやって着るんですか」
「栞さん、私のを見ながら真似してみてください」

浴衣の着方が分からずえぐえぐやってる栞に、美汐がお手本を見せながら着替えている。
やっぱり美汐って・・・。

「祐子さん、余計な事は考えなくて良いんです」

・・・はいはい、美汐はサトリだったわね。
気をつけましょ。
さてと、他人の事ばかり気にしてないで、私も着替えないと・・・。
私は着ていた衣服を脱ぐと、ススキの絵がプリントされた浴衣を羽織った。

「あ~、駄目だよ祐子ちゃん」
「え?」

帯を締めようとしたところで、名雪に止められる。
私何か忘れてたかしら?

「祐子ちゃん、浴衣を着るときは下着は脱がなきゃ駄目だよ~」
「そ、そうなの?」
「うん。ほら、私も穿いてないでしょ?」

そう言って、裾をまくって見せる名雪。
ちらりと、名雪の・・・その、大事な部分が・・・。
名雪・・・いくら女の子しか居ないって言っても、はしたないから止めなさい・・・。

「だから、祐子ちゃんも脱がなきゃ駄目だよ」
「べ、別に良いじゃない。私が下着をはこうが・・・」
「駄目なものは駄目なんだよ。でも、どうしても聞いてくれないなら・・・」

名雪はジリジリと私に迫ってくる。
な、何か嫌な予感が・・・。

「な、名雪?」
「無理矢理剥いてあげるよ、祐子ちゃん!」
「きゃあっ!!」

いきなり飛び掛ってきた名雪。
私は何とかして抵抗しようと暴れる。

「う~、暴れちゃ駄目だよ祐子ちゃん」
「名雪がどいたら止めるわよ!」
「うにゅ、だったら・・・あゆちゃん、真琴!」
「うぐぅ? 何、名雪さん?」
「あうー、真琴の事呼んだ?」

美汐に手伝ってもらったのか、既に着替え終わっている真琴とあゆが名雪に呼ばれてやってきた。

「二人とも、ちょっと手伝ってほしいんだよ。祐子ちゃんの下着を脱がせるのを」
「も、もちろん喜んで手伝うよ!」
「真琴に任せて!」

途端に嬉しそうに私に飛び掛ってくる二人。
って、ちょっと何考えてんのよ~!



そして、私は名雪達の活躍(?)によって下着を剥ぎ取られてしまった・・・。
はう・・・ちょっとスースーしてる・・・。

「さぁ、これで準備おっけーだからお祭りに向かうおー」

私から剥ぎ取った下着を高らかに掲げながら、そう叫ぶ名雪。
お願いだから、止めてよ~・・・。
もう・・・後で覚えてなさいよ、名雪。







別荘から少し離れた場所にある大きな神社。
そこでお祭りは開かれていた。
沢山の夜店が出ていて凄く賑やか。
結構大きいお祭りなのね。

「この神社では年に一度のお祭りらしいですから、こんなに賑やかなんですよ~」

横で佐祐理さんがそう説明してくれる。
年に一度のお祭りか・・・それなら、何となく納得出来るわね。

「え~と、それじゃあ俺・・・じゃなかった、私はあやめさん達と一緒に周ってくるから・・・」

そう言って、北川君・・・この場合は北川さんの方が良いかな?・・・は、あやめさん(南に憑依中)とつむぎちゃんの2人を連れてとっとと行ってしまった。
まあ、あの3人は良いか。
さてと、私も適当に周ろうかな。


「祐子さん」
「あら、美汐。他の皆は?」

「え~と、香里さんは栞さんに引っ張られて行きましたし、あゆさんはタイヤキ屋を見つけた途端走り去っていきましたし、真琴は肉まんを探しに、名雪さんはイチゴのカキ氷を買いに、倉田先輩と川澄先輩は行方不明です」

「そ、そう。ありがと」

皆・・・ちょっと本能に忠実過ぎない?
て言うか、佐祐理さんと舞が行方不明ってのは何よ・・・。

「あんまり気にしない方が良いですよ。それに皆さん心配するだけ無駄な人達ばかりですから」

確かに美汐の言うとおりなんだけどね。
まぁ良いか。
私は私で楽しませてもらいましょう。

「それじゃあ、美汐。私と一緒に周ろっか」
「えぇ、元よりそのつもりでしたから」
「そっか。じゃ、行こ」

私は美汐の手を掴むと、引っ張るようにして歩き始めた。



射的や金魚すくいなんかを楽しんで、綿飴パクつきながら美汐と他愛の無い会話を交わす。
美汐って一緒に居ると、何だかホッと出来るのよね。
いつも名雪達に振り回されてるから、そう思うのかな・・・?
あ~あ、私が男だったらほっとかないんだけど・・・。

「ゆ、祐子さん・・・あんまり恥ずかしい事考えないでください・・・(赤)」
「あ、ごめんごめん」

でも、このサトリだけはどうにかならないかしら?
そんな事を考えていたら、ふと気付いて辺りを見回す。
いつの間にか、私達は道を外れて森を抜けた所にいた。
目の前は、河の土手になっている。
後ろの森の中に戻れば、元に戻れるかな・・・?

「ねぇ、美汐・・・美汐?」

いつの間にか、美汐が私から離れたところに居て空を見上げている。
まるで何かを待っているみたいに・・・。

「美汐?・・・どうかしたの?」
「祐子さん、空・・・見ていてください」
「?・・・良いけど」

言われるがままに、空を見上げる。
今日は雲一つないので、夜空一面に広がった星空が綺麗に瞬いていた。
この星空でも見せたかったのかしら?
そう思った時、


ばひゅ~~~~ん。


何かが打ち上げられるような音がして、一筋の光が夜空に舞い上がっていった。
そしてしばらくすると、


バーン! パラパラパラ・・・。


一つの大きな音と共に、夜空に大きな光の花が咲いた。
これって、花火・・・。

「さっき祐子さんが金魚すくいに夢中になってる時に、屋台のおじさんに聞いたんですよ。今日は花火があるって。それでどうせ見るならここが一番綺麗に見える場所だって教えてくれたんです」

美汐が私の方に振り向いて、ニコリと笑った。
それじゃあ、ここにやってきたのは偶然じゃなくて美汐に導かれたからなのね。
納得。

「それにしても、凄く綺麗な花火ね・・・」

私は次々と打ち上げられる色とりどりの花火を見つめながらそう呟いた。

「はい・・・私もそう思います」

相槌を打つ美汐。
私と美汐は、しばらくそうやって二人で花火を見上げていた。






良い思い出・・・になりそうね・・・。





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