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過去の遺作置き場
2024年04月20日 (Sat)
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2002年06月21日 (Fri)
さて、今日は月曜日である。
だから学校に行かねばならない。

ならないのだが・・・・・。

「祐一・・・じゃなかった、祐子ちゃん制服中々似合ってるよ♪」
「うぐぅ・・・ボクより綺麗・・・」
「あうー、祐一のくせに生意気よっ!・・・でも、本当に似合ってる・・・」
「あらあら、ほんとですね♪」

女物の制服を着た俺を見て、喜ぶ水瀬家の人々(居候含む)
結局俺は、女性として学校へ行く事になってしまった・・・勘弁してくれ(汗)










さて、そんなわけで今は学校へ向かう通学路の途中。
名雪と二人、仲良く並んで歩く。
いつもの朝の光景だ。
・・・俺が女だと言う事を除けば。

そう言えば、俺の事は秋子さんが学校の教師達に説明してあるそうだ。
何て説明したんだろう?
『ジャムを食べたら女の子になってしまいました』とでも言ったのだろうか?
・・・・絶対、誰も信じないと思うのだが(汗)
まぁ良い・・・・その辺は、秋子さんのことだから上手く説明したのだろう。



「ねぇ、女の子の格好はもう慣れた?」

突然、名雪がそんな事を聞いてくる。

「まぁ・・・ね。昨日散々特訓させられたし、もうとっくに慣れたわ」

俺は、ごく自然に女言葉で話す。
昨日の特訓の賜物だな。
・・・・男に戻った時に癖になってないか心配だが。

「わ。言葉遣いも何の違和感もないね・・・やっぱり、昨日練習しておいて良かったね♪」
「・・・・・そうね」

ちなみに名雪に指摘されて気付いたのだが、俺の言葉遣いは香里によく似てるらしい。
ま、だからどうしたと言うわけじゃないんだが・・・・念の為な。



「ところで名雪。ついのんびり歩いてたけど、時間大丈夫なの?」

そう、ついついのんびり歩いてたが・・・朝、俺の制服姿のお披露目会みたいな事をやってたせいで、結構遅くなってるはずだ。

「え~と・・・ちょっと待って・・・」

そう言って名雪は時計を見る。

「う~んと・・・・まだ大丈夫、走らなくてもギリギリ間に合うよ」
「そう・・・なら、良いんだけど」

そんな感じで、学校までは特に何事も無く着く事が出来た。
・・・・学校まではな。
問題はその後だった・・・。







「名雪、私は一度職員室に寄ってから行くから・・・先言ってて」
「うん、分かったよ。それじゃまた後でね」

そう言いながら名雪と玄関で別れると、俺は職員室へと脚を運ぶ。
家を出る前に秋子さんから、学校に着いたら職員室へ行くように言われていたのだ。
まぁ、俺もいきなり教室へ行かなくて済むので助かる。
教室に着いた途端、絶対何か言われるに決まってるからな。



「失礼します」

お決まりの言葉を言って職員室に入る。
え~と・・・担任の石橋はどこだ?
一通り職員室を見回すが姿が見えない。
どこ行ったんだ、あの無責任教師は?
う~む・・・とりあえず、ここで待つか・・・。


程なくして担任の石橋が現れた。
何処に居たんだ、一体?


「それにしても・・・にわかには信じられなかったが、本当に女になってるとはなぁ」

教室に向かって歩いている時に、石橋がそう言ってくる。
まぁ、普通は信じられんだろ。

「しかし、わざわざ女の格好してくる必要は無かったんじゃないのか?さらしとかでも巻けば男の格好でも・・・」
「・・・名雪達に無理矢理・・・」
「そ、そうか」

・・・・・・・しくしく。







石橋の後ろについて教室に入る。

「「「「「「「「おぉ~・・・・・・」」」」」」」」

入った途端、俺の姿を見てクラスの男共の溜息が漏れる。
まぁ、突然見たこともない女の子が教師に連れられて入ってきたら無理もないだろうが。

「さて、とりあえず自己紹介してくれ」
「はい・・・・え~と、相沢祐子です。宜しく・・・・」
「「「「「「「「おぉぉっっ!!!・・・・・って、相沢・・・?」」」」」」」」

クラスの奴らが、苗字を聞いて怪訝そうな顔をする。

「先生っ、その子相沢と何か関係あるんですか!?」

今のは・・・・北川か。
ま、普通はそう思うわな。

「おぉ、関係あるも何も本人だ」
「「「「「「「「は?」」」」」」」」

クラス全員(名雪を除く)が一斉に間抜けな声をあげる。
ある意味、壮観だな・・・・クラス全員の開いた口が塞がらないと言う光景も。

「は・・・・ははは、先生~、冗談キツイっすよ」
「いや、冗談なんかじゃないぞ。詳しい経緯までは知らんが、相沢は突然女性になってしまったらしい」
「「「「「「「「そ、そんな馬鹿な・・・・」」」」」」」」

クラス全員が一斉に・・・・ってもう良いか。

「まぁ、そう言うわけだから・・・しばらくの間、女として宜しく」

それだけ言うと、俺は自分の席に座った。
さて・・・・休み時間が大変だろうな。








案の定、休み時間は大変だった。
クラスの奴らが、何で女になったのかとか何でそんなに可愛いんだとか羨ましい・・・とか色々聞いてきたからだ。
・・・・・って、羨ましいって何だ?


「それにしても・・・見事なまでに女になったものね」

そう言いながら俺の所にやってきたのは香里だ。
物珍しそうに俺を観察している。

「香里・・・そんなにジロジロ見ないでくれる?」
「・・・女言葉も完璧ね」
「私の特訓の賜物だよー」

そう言って名雪が会話に加わる。

「この制服は?」
「私の予備だよ。ちょっと祐子ちゃんには小さかったかな?」

いや、ちょっと所じゃないんだが・・・。
今まで特に言わなかったが、実はあちこちがきついし、スカートはギリギリのミニスカートみたいになってるし、かなり危ない状態だったりする。
ちょっと周りから視線を感じるんだよな。
むぅ。
俺はスカートの端を掴んでぐっと引っ張り出来る限り足を隠した。
早く新しい制服届いてくれぇ・・・。


「それにしても相沢・・・・お前が女になってしまうと、俺の肩身が狭いじゃないか!」

北川か・・・・そんな事知らんわ。
大体、なりたくてなった訳じゃないんだぞ?

「それじゃあ、これから北川君は仲間外れだね~」
「そうね、一人だけ男が居るってのもおかしいしね」
「そ、そんな、美坂・・・おい、相沢!何か言ってくれ、美坂チームの危機だ!!」
「北川・・・長い付き合いだったわね」
「な、何でだ~~~~!!!」
「ところで、相沢君・・・・じゃない、相沢さんね。まだ女物の服とか小物とか全然ないんでしょ?今日商店街でも寄って何か買っていきましょう?」
「まぁ・・・・別に良いけど・・・・」
「無視するな~~~~!!!」
「・・・北川君、煩いよ」

ドゲシッ。

「ぐはぁっ?!」

バタッ。
・・・北川死亡。

「じゃ、そう言うわけで、学校終わったら一緒に行きましょ。名雪も来るでしょ」
「うん。今日は部活も休みだしね」
「・・・好きにして」



そんな感じで今日の一日が過ぎていく。
ちなみに北川はその後ずっと死んだままだった。
不憫な奴め・・・・。



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